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RIKOS JA RANGAISTUS
1983年/フィンランド/93分 ロシアのヴィターリー・カネフスキー「動くな、死ね、甦れ!」 、タジキスタンのバフティヤル・フドイナザーロフ監督「少年、機関車に乗る」と監督デビュー作が続き、本作はアキ・カウリスマキの監督デビュー作。 久々のアキ・カウリスマキの登場。 26歳のカウリスマキが撮った初監督作品。 ビデオタイトルは「罪と罰 白夜のラスコーリニコフ」 26歳のフィンランドの若造が処女作で挑んだのはロシアの文豪ドストエフスキーの「罪と罰」。 舞台を現代のヘルシンキに移し、描くは食肉解体工場で働く青年ラヒカイネンの罪と罰。 ![]() 先日、ロベール・ブレッソンが「スリ」 「ラルジャン」で繰り返しドストエフスキーの「罪と罰」を描いており、そんなことからアキ・カウリスマキの描く「罪と罰」を観たくなったのがきっかけ。 そしてロベール・ブレッソンの映像をみているとアキ・カウリスマキに通じるものを感じたこともあるだろう。カウリスマキは最も影響を受けた者たちとして、ルイス・ブニュエル、小津安二郎、ロベール・ブレッソンの名前を、このとおりの順で挙げている。 ちなみにイギリス映画雑誌が2002年9月に実施した映画監督の私のベストテン映画のアンケートでアキ・カウリスマキは「黄金時代」ルイス・ブニュエル、 「アタラント号」ジャン・ヴィゴ、「バルタザールどこへ行く」ロベール・ブレッソン、「散り行く花」D・W・グリフィス、「肉体の冠」ジャック・ベッケル、「グリード」エーリッヒ・フォン・シュトロハイム、「ぼくの伯父さん」ジャック・タチ、「極北の怪異」ロバート・フラハティ、「無防備地帯」ロベルト・ロッセリーニ、「東京物語」小津安二郎で、「肉体の冠」「極北の怪異」「東京物語」は同誌の10年前の92年アンケートでも10本に入っていた作品だそうだ。 そしてカリウスマキは、私がとりわけ好きな「白い花びら」をサイレント仕立てで撮っている。原作が人物の内面的葛藤を描いていることから、セリフは必要ないと本作から言葉を排除し、「シネマのエッセンスは言葉のない世界だから、そこに回帰したかった」と語っている。 自らの作品をシネマトグラフと称したブレッソン。 本作「罪と罰」も案外とブレッソンに対するオマージュも込められているのかも知れないと思う。 *あとで資料を調べてみると、ブレッソンの「スリ」は教育上よろしくないという理由でフィンランドでは長らく上映されていなく、カウリスマキも本作制作時にはまだブレッソンの「スリ」は見ていなかったそうだが、ブレッソンの影響をうけたというより、カウリスマキの元来のセンスがブレッソンのそれと相通じるものがあったのだろう。 そして本作について「ヒッチコックが彼の小説を映画化するのは難しすぎるといったので、私はあえてデビュー作にしようとした。フィンランドで映画を撮るのは大変なことだし、自分の能力も未知数だから、どうせ失敗するなら高いところから落ちたほうがましだと思った」と語り、「世界一素晴らしい本をずたずたにしてしまった」と謙遜する。 イングマール・ベルイマンは「ファニーとアレクサンデル」(1982)を撮った後映画監督をやめる、フィンランドの若造の才能を見出したのだろう。自身が使っていたカメラ・アリフレックスを譲渡している。(「ぼくにカメラを売ったという訳さ」とカウリスマキはまたもや謙遜しているが。) 「罪と罰」を撮ったのもこのカメラだろう。 食肉の解体作業場。 一匹の虫がこともなげに潰される。 食肉の解体作業を淡々と執拗に撮り続ける冒頭シーンはのっけから既にしてカウリスマキ・スタイル。 抑制した台詞や表情、動作、そして音楽といい、流れるリズムといい、テーマにまっすぐに向き合う姿勢といい、これはアキ・カウリスマキという人間のもつ強烈な個性であり感性なのだろう。以降の彼の作品に一貫して流れるものが、26歳のカウリスマキという青年が撮ったこの作品にはっきりと息づいている。 「罪と罰」アキ・カウリスマキの処女作にして原点といえる作品だろう。 俺が殺したかったのは道理なんだ。 男の背中に被るように、男の本音を切々と謳いあげたシューベルト「セレナーデ」(ポップ・バージョン)のメロディと詩。 ”恋人よ、私の声を聞いておくれ。来て、私を幸せにしておくれ……” 現代社会の孤独と無常観がやるせないほどに漂ってくる。 まったくアキ・カウリスマキはフィンランドのド演歌だわ!(といっても日本の演歌はちっとも分からない私なんですが…) このネクラさとストレートさは、私にはいちばんの癒しと興奮が共存して味わえる。 久しぶりにカウリスマキ作品をみて、思わずヨダレをたらして、へらへらしてしまう私。 都会の悪に騙され連れ去られた愛する女房を取り戻すため、愛犬を隣人に託し、男は正装姿で斧を背中に括りつけ、女房を助け、そして男はゴミ処理場でひっそりと誰にも知られず死んでいき、川の流れに白い花びらが……の「白い花びら」や、去りゆく男の後姿に流れる「雪の降る街を」が聞える「ラヴィ・ド・ポエーム」に通じるものがある本作。日本人である私の湿った部分に響く。スガ・シカオ流にいうと「こころのやらかい部分をしめつける」となるところだろう。 これがまた堪らんのですけど。 監督: アキ・カウリスマキ 製作: ミカ・カウリスマキ 原作: ドストエフスキー 脚本: アキ・カウリスマキ/パウリ・ペンティ 撮影: ティモ・サルミネン 美術: マッティ・ヤーラネン 編集: ヴェイッコ・アールトネン 音楽: ショスタコーヴィチ/シューベルト 録音: ミカエル・シエヴェルス 出演: マルック・トイッカ/アイノ・セッポ/エスコ・ニッカリ/マッティ・ペロンパー/オッリ・トゥオミネン/ ※このブログはトラックバック承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
こんばんは、chouetteさん。 ロベール・ブレッソンのラルジャン観ていました、、、やはり深夜のテレビ放送で。すごい無機質な映画だなと思いました。 同じ無機質関連で、アキ・カウリスマキは凄く好きでほとんど観ています。 ジム・ジャームッシュのナイト・オン・プラネットを観てマッティ・ペロンパーを知ったので、そこが入り口だったのですが。 スウェーデンの会社に勤めているので、仕事で北欧の人とは良く会うのですが、とりわけフィンランドの人はかなり特殊というか。 カラオケでいきなりヘヴィ・メタルを歌う人とか(激しい音楽が好きな人が多し)、お刺身を塩で食べるとか、通なのか変わっているのか良く分からないです。 カウリスマキの映画に流れている空気と同じで、すっとぼけている人が多く、そういうところが好きです。 シュエットさん・・・こんにちは。 うーーーん。フインランド映画は、今まで見た体験はありません・・・。これを機に・・・本作を見たいと思っています・・・。 <ちなみにイギリス映画雑誌が2002年9月に実施した映画監督の私のベストテン映画のアンケートで・・・>ーーーこれは興味深い内容ですね・・・10本のうち6作品がマイ・コレクション・ビデオにありました・・・。その中でも再見を繰り返している作品に「肉体の冠」(51)と「無防備都市」(45)がある・・・。シモーヌ・シニョレ嬢の目に惹かれたばっかりに・・・ギロチンの露と消える数奇な運命をたどる大工のお話でしたね・・・。方やバーグマンがスキャンダルを巻き起こした相手・・・ソッセリーニ監督作品ですね・・・。 シュエットさん、こんにちは! わたしも先週はカウリスマキ観てました! 本作は中古ビデオには予告が入ってたりしますけど、未見です。 あの肉を切るシーンは「いのちの食べかた」にも通じてますよね。 そこにかぶさるセレナーデ! 「マッチ工場の少女」もそうだけど、黙々と働く人々はみな無表情。その内に秘めた思いはBGMがせつせつと歌い上げる!みたいな(笑)そういう演歌の花道系はデビューからすでにあったのですね。(笑) この作品もどこかで観たいですけどね~~。 micio さん こんにちは。 アキ・カウリスマキ大好きなんです! 今まで記事にしていなかった作品を今回は記事にしていきます! 久しぶりに見て、やっぱ好きだなぁこのテイスト!ってしみじみです。 ジム・ジャームッシュも好きだけど、カウリスマキの素っ気なさがいいなって思う。「街のあかり」と同時公開だったアルモドバルの「帰郷」と両方見て、私はやはりラテンの逞しさより北欧のネクラが好きだなって、これもしみじみ思った(ラテン系のイケメンは好きだけど…笑)。 >仕事で北欧の人とは良く会うのですが いいですね。さらに馴染みが出るではありませんか!羨ましい。 しかし刺身に塩! あまり味覚の細やかさはないんでしょうね。きっと。 塩と胡椒で事足りる国民かもしれない。集中して人間ウォッチングして面白い国民性みえたら教えてくださいね。待ってます! カウリスマキ作品のサントラ2枚組持ってます。 音楽も又いいんですよね! 逆にジャームッシュはこまめにDVD買ってるけど、カウリスマキの方は持ってないんですよね。 グリーンベイさん! アキ・カウリスマキは未体験ですか。 いいんですよ。人に撚ったら眠気を誘うかも知れないけど。 アメリカのジム・ジャームッシュと合わせて彼の作品も一度観てください。私が一番好きなのは「白い花びら」! 私、どっかでカウリスマキが答えている10作品観てみようと思ってます。 小津もどっかで…と思ってます。 しゅべる&こぼるさん。 久しぶりのカウリスマキに涎です!(笑) 観て! 記事にしてなかったカウリスマキ作品、今から続きます!公開作品みに出かけたけど、どうも観る気がしなくって家でカウリスマキ・祭してました。 「カラマリ・ユニオン」「ハムレット・ゴーズ・ビジネス」「コンラクト・キラー」そしてレニングラード・カウボーイズ、そして彼らと旧ソ連交響楽団とのライブ。またTBもっていくね。 公開作品は「告発のとき」「マンデラの名も無き看守」みたらそれなりにいいんだけど、感動なのだろうけれどね。なんか同じことの繰り返しで記事書くのも辛いよね。最近、観たい!ッていう公開作品が少ない! 茶のみ映画みたいな邦画も観る気もしなくってね(笑) かなり不感症になってるわ。私。 micioさん、グリーンベイさん、しゅべる&こぼるさん。 カウリスマキが10作にあげているうちの2つ「散り行く花」と「極北の怪異」記事あげていてリンクしましたので、時間あればお立ち寄りください。 「極北の怪異」は「極北のナヌーク」と邦題が変わってます。 シュエットさん・・・こんばんは。 うーーーん。映画少年グリーンベイも焼きが廻ったようです。(笑) 「コントラクト・キラー」(90)を観ておりました・・・この作品は手元にビデオあり・・・しかし、これがアキ・カウリスマキ監督作品と云うこともフインランド・スエーデン映画であることも認識に無かったのです・・・。(涙) この頃シュエットさんの紹介作品で、新しい発見が随分御座いました・・・。これからも特に新作系の作品やら・・・詳しい映画事情で学ばせてもらいます・・・。 グリーンベイさん 今晩は。
そう、アキ・カウリスマキです! 「コントラクト・キラー」は彼が初めて海外で製作した作品でイイギリスのロンドンが舞台。次の次に記事あげます。 アキ・カウリスマキはタグを作ってまとめてますからまたご一読ください。といっても私勝手な感想ですけどね。サイレントで描いた「白い花びら」は機会あれば是非見てください。
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