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HENRI CARTIER-BRESSON - BIOGRAPHIE EINES BLICKS
HENRI CARTIER-BRESSON: THE IMPASSIONED EYE 2003年/スイス・フランス/72分 at:シネ・ヌーヴォX シネ・ヌーヴォXにて上映されている写真家に焦点をあてたドキュメンタリー映画のうちの一つ。 アンリ・カルティエ=ブレッソン(1908.8.22 ~ 2004.8.2) 写真集『決定的瞬間』で写真の世界に多大な影響を与えた20世紀最大の写真家。 写真家集団「マグナム・フォト」の創設メンバーの一人。 ブレッソンの写真と、ピアノが奏でるメロディ、そして「思い出の宝庫」だと数十年間撮り続けた自身の作品を前に、目を輝かせるブレッソンの記憶の扉を開けて語られる言葉…… それだけで充分すぎるほど充分に贅沢な時間だ。 ブレッソンの写真は、どの写真をみても、光と影、被写体の位置など、その完璧な構図に、思わずため息がもれるほど感動する。 感動と言うよりも、むしろ心が静かに澄み渡っていくような、日本の茶の湯にも通じるような凛とした静謐さを感じる。 「絵が大好きだ」美術館の絵を前ににこやかに、満ち足りた表情で語る。 子供の頃、週に2回美術館に通って絵を模写したという。それが彼の生来の緻密な感性を更に研ぎ澄ませていったのだろうか。 「決定的瞬間」 一瞬のシャッター・チャンス。鋭利なナイフで一瞬のその瞬間を切り取った、一瞬前の瞬間でもなく、その次の瞬間には失われるその瞬間。その構図に見事に記憶としてとどめられている。 写真集「決定的瞬間」。この写真集の表紙には画家アンリ・マティスによるコラージュが用いられている。一昨年、本作の公開にあわせ、大阪では写真展も開催され、映画とあわせ写真展も見に行った。この写真集も展示されていた。 「フレームの端までカメラマンの世界だ」マグナムのメンバーはそうブレッソンから教わったという。 カメラマンの、その一瞬の感性で切り取られた記憶の瞬間に言葉は不要だ。観る者の中にカメラマンのその感性が静かに入ってくる。語るよりも、瞬間の沈黙の一瞬の空間に浸りたい。ブレッソンの写真を前に私はそんな感覚を持つ。 そんな私の我儘だろう。本作には私は30%の不満を持つ。 浸っている途中に、イザベル・ユペールだのアーサー・ミラーだの写真集の感想とか、彼の写真の熱く語ったりとか、親切にも解説までしてくれる。 例えば映画に浸っているとき、横で突然、かばんをガサゴソさせながら飲食する音や、絵画を見ている時にあれこれ横から喋られたりした時の、突然の闖入者によって、中断させられた苛立ちを感じた。あくまでも私一人の我儘なのだろうけれど……。 少なくとも30%はこの映画を堪能する私の気分が損なわれてしまった。 公開時に感じたこの苛立ちは、今回は分かっているから少しは和らいだけれど……。 ブレッソンの写真、そしてピアノの音色、そしてブレッソンの語る一瞬の記憶、彼の思想…… スクリーンで見る「決定的瞬間」 それだけで充分だ。 他には何も要らない。 言葉は要らない。 至福の時を100%味わいたい。 監督:ハインツ・ビュートラー 脚本:ハインツ・ビュートラー 撮影:マティアス・ケーリン 出演: アンリ・カルティエ=ブレッソン エリオット・アーウィット アーサー・ミラー イザベル・ユペール ジョセフ・クーデルカ フェルディナンド・シアナ ロベール・デルピエール
by mchouette
| 2008-02-13 00:00
| ■映画
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