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I am/Jestem 2005年/ポーランド/98分 at:第七藝術劇場 ポーランドの女性監督ドロタ・ケンジェルザヴスカの作品。 別にあえて女性監督と括弧つきで言うこともないのだけれど、昨年末は女性監督の作品に、私自身、ちょっと物足りなさのようなものを感じたので、本作もそんなことが気になって……。 物語は、孤児院の生活に反発する少年が、母親に会いたくて孤児院を抜け出し、連れ戻されるまでを描いたもの。 少年がどういう経緯で孤児院にいるのかははっきりとは示されていない。町の人たちの視線や会話から、少年と母親の生活は容易に想像がつく。多分、少年は母親からほとんど養育放棄に近い形で育ち、そのために孤児院に入れられたのだろう。 ポーランドの現状を抉るとか、現代社会における家族の問題をテーマに前面に押し出した作品というのではなく、母親の温もりから弾き出された少年の淋しさとか孤独感、周りの大人たちに対する反発といった、そんな少年の、まだ10歳くらいの少年の、はっきりと言葉にならない気持ち、内面を、風景や光の陰影を巧みに織り交ぜた映像で描き出す。そしてマイケル・ナイマンの曲がそんな少年の心象風景に溶け合った、そんな映像作品。 惹かれる映像。 撮影監督は「トリスタンとイゾルデ」などを撮影したアーサー・ラインハルト。彼は監督の夫でもある。「トリスタンとイゾルデ」でも映像が素晴らしいなと思っていたけれど、夫婦合作ともいえる本作での、彼の映像は更に素晴らしいと思う。 少年と、そして少年と親しくなる少女は、二人とも素人で、少女は養護施設で見つけたそうだ。二人の自然で、それでいて淋しさとか人恋しさ、子供らしい屈託さ、依怙地さなどが伝わってくる彼らの演技。これは監督の手腕だろう。 作品テーマとか、作品の深みとかといった視点でみると、物足りなさを感じるかもしれないけれど、少年の心の内を映像で描き出したこんな小作品。すっと胸の中に溶けていく。少年の表情が素晴らしかった。 大阪で公開された劇場では、1日1回だけの上映なのが淋しい。 派手ではなく、話題性もそれほどないけれど、私には最近の公開作品の中では、ちょっと印象に残る作品だった。 製作 アーサー・ラインハルト 監督 ドロタ・ケンジェルザヴスカ 脚本 ドロタ・ケンジェルザヴスカ 撮影 アーサー・ラインハルト 編集 ドロタ・ケンジェルザヴスカ/アーサー・ラインハルト 美術 モニカ・コナジェフスカ 衣装 マリオラ・ジョムジョラ 音楽 マイケル・ナイマン クンデル(少年): ピョトル・ヤギェルスキ クレツズカ(少女): アグニェシカ・ナゴジツカ クレツズカの姉: バジア・シュカルバ クンデルの母:エディタ・ユゴフスカ クレツズカの父: パヴェウ・ヴィルチャック
by mchouette
| 2008-01-09 23:21
| ■映画
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