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THE GREAT GATSBY
1974年/アメリカ/141分 劇場で観た時は、まだまだ青臭い時だったんだろう。 男のロマンとはたった一人の女のために、しかも、こんな虚飾の世界に人生の全てを賭けたのかと、ギャツビーの最後に哀れと感じ、やりきれなさで劇場をでた苦さだけは憶えている。 そして、そんな男のロマンに対し、涙を流しながらも「お金持ちの娘は貧乏人とは結婚しないものでしょ」いい、「ずっと愛人でいて」蝶のようにひらひらと、男の笑顔と優しさの中で生きようとするミア・ファロー演じるデイジーの女のしたたかさには、妙に肯くものがあった。 レンタルしてみようとまでは思わないけれど、CS放映されるたびに、なぜか観てしまい、もう何度か観ている。 1920年代という時代、時代の価値観、厳然と存在する身分社会、そんな時代背景もみえてきたからだろうか。1920年代のアメリカ。時代の断面を見事に切り取り、そこで蠢く人間たちを見事に描いている。こんな奥行きのある人間ドラマは、やはり何度みても惹かれる。 新進気鋭のデザイナーだったラルフ・ローレンがデザインした衣装に身を包んだロバート・レッドフォードと、ミア・ファローの決して美人ではないけれど、金と欲の渦巻く生々しいドラマの中で、フワフワとした現実感のない彼女の雰囲気が、ギャツビーの夢の中で存在しつ続けた愛する女性という役どころに妙にはまっていて、美人ではないけれど別の魅力を醸し出していた。 冨も名誉も持たぬ若者ギャツビーが、金持ちの娘デイジーに恋をし、彼女が居る場所までのし上がり、彼女にふさわしい男になって彼女の愛を獲得しようとする。第一次大戦直後、新興国アメリカが軍需景気に沸きかえる時代の中で、持たざるものが見る夢は、冨を持つことだったろう。 そんな1920年代のアメリカという時代。享楽的で刹那的な上流階級の生活。そしてスラム街で自動車修理工を営むウィルソンにみる庶民の貧しい生活。そんな貧しさから抜け出そうとする妻のマートルはデイジーの夫であるトムの愛人となり、夫の目を盗んで浸る刹那的な贅沢な生活に自分を見失っていく。そんなマートルが求めたものはトムの愛だった。 そしてギャツビーもまた、密造酒、麻薬といったアメリカの裏社会を渡り歩きデイジーのいる世界の華やかさを掴むまでに成り上がり、再びデイジーの愛を取り戻そうとする。 そして二人とも、愛を求めて、虚飾の世界に裏切られるように命を失くした。 マートル役のカレン・ブラックは本作でゴールデン・グローブの助演女優賞を受賞している。ギャツビーの死亡記事を読んで父親が葬儀にやってきた。 デイジーの従兄弟で隣人のニックと父親だけの淋しい葬儀。ギャツビーの死とともに、あの華やかさも一瞬で消えてしまっていた。 そして父親が持ってきたギャツビーの日記にかかれていた決意 ・エレガントンな身のこなし、話し方を習得する。 ・勉学する ・毎月5ドル貯金する。(5ドルを消して3ドルにしている。彼がどれだけの貧しさにあったか…) ・両親を大切にする 原作は「ジャズエイジの桂冠詩人」と讃えられる作家、フランシス・スコット・フィッツジェラルドのベストセラー小説「ザ・グレイト・ギャツビー」。 フランシス・フォード・コッポラが脚色し、ジャック・クレイトンが監督を務めた。 夜毎、ギャツビー邸で繰り広げられる豪華なパーティーには、本物の社交界の紳士淑女が20年代のファッションに身を包みエキストラとして出演し、ニューヨークの東部にある大富豪の別荘であるマーブルハウスで撮影された。 その豪華絢爛とあわせての乱痴気騒ぎぶりは、まさにあの時代のアメリカの狂乱そのもの。 第一次大戦終了後から世界大恐慌までの時代。 アメリカもまた成り上がりの夢に酔いしれていた時代。 「軍服はまだあるの?私も昔のドレスを着て広大なギャツビー邸で躍りたいわ」 女は思い出に浸り、そして男はその思い出を「今」というこの時間に引き寄せようとする。 女は現実を愛し、目の前の男を愛し、男は幻想の中の女を愛し続ける。 そこに男はロマンをみるのだろうか。 よく分からない…。 先日見たフランス映画「鬼火」で虚無に憑かれた主人公が死ぬ前に読んでいた本が「ザ・グレイト・ギャツビー」。そんなことから、また観たくなって録画していた本作を観た。 何度観ても飽きないのは、内容の豪華さよりも、登場する人間たちそれぞれのドラマが描き出されているからだろう。 監督: ジャック・クレイトン 製作: デヴィッド・メリック 原作: F・スコット・フィッツジェラルド 脚本: フランシス・フォード・コッポラ 撮影: ダグラス・スローカム 音楽: ネルソン・リドル 出演: ロバート・レッドフォード ミア・ファロー ブルース・ダーン カレン・ブラック スコット・ウィルソン サム・ウォーターストン ロイス・チャイルズ パッツィ・ケンジット ロバーツ・ブロッサム ハワード・ダ・シルヴァ キャスリン・リー・スコット
by mchouette
| 2007-12-04 00:00
| ■映画
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