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LE PRIX DU DESIR
SOTTO FALSO NOME 2004年/ フランス・イタリア・スイス/109分/ R-15 at:第七藝術劇場 先日UPした「週末に観た映画」のコメント「この映画見せる(魅せる)映画か…」だけでいいかって思ったけれど、レンタル料より高いチケット買ってみたことだし……ということで感想は書いておこうと。 決して顔を見せないミステリアスな作家として知られている世界的ベストセラー作家セルジュ・ノヴァク。義理の息子の結婚式に出席するためカプリ島に向かう船上で、一人の美しい女性ミラと出会った。誘うようなミラに惹かれ一夜を共にしたセルジュ。翌朝、ベッドにはミラの姿はなく、バスルームの鏡に『メルシー』と口紅で書いた文字だけを残して……。結婚式の会場に着いたセルジュが目にしたのは義理の息子の花嫁のミラの姿だった。 そ知らぬ風に挨拶をするミラ。 ミラはセルジュと同じポーランド出身でユダヤの言葉であるイディッシュ語を理解できる。けれどなぜかポーランド出身であることを隠すセルジュ。 「あなたが忘れられないの」というミラを拒絶するセルジュだったけれど、「隠れ家を見つけたわ!」というミラからの電話に、隠れ家に向ってしまうセルジュ。情事を重ねる二人。 ルイ・マルの「ダメージ」と同じ展開なので驚いてしまった! 改めてルイ・マルの『ダメージ』…写真の女に魅いられながら「別れてから、一度駅で子供を抱いている彼女を見かけた。普通の女だった」この最後の映像にルイ・マル「凄い」と思った。 監督はロベルト・アンド。本作が長編2作目とのこと。 ファムファタールに翻弄される男を描きたかったと語っている。~どうだかな……。 ファムファタールに翻弄される男の姿というより、自殺した父の小説を処女作として鮮烈な文壇デビューをし、一躍文学界の寵児となったセルジュに復讐するため、彼に近づいたミラ……。 ファムファタールに翻弄されるというより、自分の過去に翻弄されるセルジュで、その過去も思わせぶりっぽいけど、かなり陳腐な展開で、ドンデン返し的な結末で、ミステリアスな終わり方をしているけれど、う~ん…かな。 セルジュがユダヤ人で強制収用所からかろうじて脱出したこと、そして小説を残して自殺したミラの父親ポールがポーランド貴族であったこと、セルジュとポールが大学で親友であったこと、そしてポールがセルジュに遺書ともいえる手紙……「戦争責任」ということが潜まれているのかも知れないけれど、このあたりは映像から読み取れなかった。 どっか焦点がぼやけてしまったみたい。 映画のコピーは「愛するほどに、欺かれる。」こんな言葉が映像のどこから出てきたんだろう? ただ見ている間はそれなりの緊迫感があり、ジュネーブとかセルジュがアトリエにしている森の中のウッドハウスとか、ポーランドのデブノーの森といった材料とか、上流階級の雰囲気をたっぷり盛り込んだ雰囲気とか、役者は揃っているし、とかで映像的には大いに楽しめた作品でもある。ただ、終わって劇場を出た時は何の余韻もなかった。 とくに私には、シャネルのミューズといわれるアナ・ムグラリスの醸し出す雰囲気と、シャネルとフェンディがデザインした彼女のさり気ないファッションが素敵で、どちらかというとそれが魅力の作品だった。UPした写真のワンピースも素敵で、下船するときはその上に黒っぽいカーディガンをさらりと羽織って…ぺちゃパイなところがスレンダーさを余計に引き立たせていて…好きなスタイルだわ。彼女の醸し出すミステリアスな雰囲気で魅せた作品かもしれないぞ。それからセルジュの妻役のグレタ・スカッキは中年女性のいい雰囲気出してました。 アナ・ムグラリスの前作「NOVO/ノボ」は未見なのでこれは観なくては。5分で記憶をなくすという主人公役のエドゥアルド・ノリエガノ演技も見たいし…。 けど、なんでこんな役になると、いっつもでもないけど、判で押したみたいにダニエル・オートゥイユ。何でかな…?ジャン=ルイ・トランティニャンが20歳若かったら、この役は彼にぴったりだと思うんだけど…。 監督: ロベルト・アンド 製作: ファブリツィオ・モスカ 脚本: ロベルト・アンド/サルヴァトーレ・マルカレッリ 撮影: マウリツィオ・カルヴェージ 美術: アンドレア・クリザンティ 編集: クラウディオ・ディ・マウロ 音楽: ルドヴィコ・エイナウディ 出演: アナ・ムグラリス (ミラ) ダニエル・オートゥイユ (ダニエル) グレタ・スカッキ (ニコレット) ミシェル・ロンズデール マグダレナ・ミェルツァシュ ジョルジョ・ルパーノ
by mchouette
| 2007-10-20 00:00
| ■映画
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