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A GOOD YEAR 2006年/アメリカ/118分 at:梅田ガーデンシネマ もう一昔前?でしょうか。 書店の女性雑誌のコーナーのどこをみても 南フランス、プロヴァンス、プロヴァンス、プロヴァンス。金太郎飴みたいに、どの雑誌もプロヴァンス一色の頃がありましたね。今では定期的に特集が組まれる定番ものみたいですね。 ピーター・メイルの「南プロヴァンスの12ヶ月」という本が火付け役でしょう。28カ国で翻訳され500万部を超えるベストセラーとなった本。ピーター・メイルと本作の監督リドリー・スコットとは、1970年代のロンドンで同じ広告業界で働いていて、30年来の友人だそうです。メイル氏は南プロヴァンスに定住し、スコット監督は同地で別荘とワイナリーを所有していることから、二人のコラボレーションで生れた映画が本作。ピーター・メイル原作の映画化は本作が初めてだそうです。 南仏プロヴァンス、シャトー・別荘、見渡す限りの葡萄畑……いいですねぇ。 狭い日本で、暑い暑いとうだっている状態の私にとっては、とんと縁のない風景と、なんとも羨ましいスローライフ。指くわえて憧れてしまいますねぇ。 そんな美しい風景一杯のプロヴァンスを舞台に、大人の男と女のお伽話のようなさらりとしたラブストーリーは、暑い夏ですっかりだらけた状態の頭には、清清しく心地よかったです。 「プロヴァンスの贈りもの」 主役のラッセル・クロウはかなりシェイプ・アップされたようで、暑苦しくなくなかなか良かったです。赤貧から這い上がるボクサーを描いた「シンデレラマン」の時よりも本作のほうが顔が随分すっきりしてました。敏腕トレーダーはシャープでなければ…シャープとまではいってませんが。 そしてリドリー・スコットとラッセル・クロウといえば「グラディエーター」。ローマ帝国時代の筋肉ムキムキの剣闘士の物語から一転、こんな楽しいラブストーリーを…。余談ですが、私は「グラディエーター」」では邪心と偏愛に満ちたコモドゥスを演じたホアキン・フェニックスにぐぐっときてましたが…。 「300」ではありません。「グラディエーター」です。 さて、本作は… ロンドンの金融市場で野心家で敏腕トレーダーとして秒単位で生きている男マックスにとっては、イギリス人でありながら南仏プロヴァンスのシャトーに住み、ワインを造っていた伯父が死に、たった一人の身内であるマックスに遺されたシャトーと葡萄畑は「豚に真珠」か「猫に小判」。とっとと売り払おうと南仏の亡き伯父のシャトーに行く。 幼くして両親を亡くしたマックスにとって、伯父は親代わり。毎夏、伯父と過ごす南仏での生活、伯父から教えられた人生哲学、それらはマックスにとっては宝物のような日々であった。けれど負けず嫌いのマックスがロンドンのビジネス界で野心を剥き出しにして、競争相手を蹴落としならが生きるビジネスに身をおいてからは、伯父との関係も、そんな生活とも疎遠になっていた。 シャトー、葡萄畑、そこかしこに染みついている少年時代の姿。伯父と過ごした日々。伯父の言葉。そんな過ぎ去った日々がマックスの中にフラッシュバックして蘇ってくる。 少年マックスにとってヘンリー伯父さんは良き友人であり、人生の良き先輩だった。 こんな緑の中で目覚めたい!暑いから、余計にこんな朝に憧れる! アスファルトではなくて、こんな土の道がいい!車でなくてプロヴァンスの風を感じてバイクで走るのは気持ちいいでしょうね。 伯父が語る言葉の本当の意味を、その真髄を知っていくマックス 勝利から学ぶことは何もない。だが敗北は知恵を生み出す。大事なのは負け続けないことだ。 こんな真珠のような素晴らしい言葉を語るヘンリー伯父さんを演じているのはアルパート・フィニー。「エリン・ブロコヴィッチ」でジュリア・ロバーツが勤める弁護士事務所の所長、ティム・バートン「ビッグ・フィッシュ」でも人生を楽しい法螺でばら色にかえる味のある父親役を演じてました。 マックスの少年時代は、「ネバーランド」「チャーリーとチョコレート工場」のフレディ・ハイモア。私はこれらの作品もいいですが、ジャン=ジャック・アノー監督の「トゥ・ブラザーズ」のまだ幼かった頃の彼も可愛くて印象的です。 オゾンの「ふたりの五つの分かれ路」や「ぼくを葬る」のヴァレリア・ブルーニ=トデスキーニがヘンリー伯父さんの弁護士役で出てました。キャリアウーマン然ではなく、おっとりとした素敵なマドモワゼル。彼女は見るたびに美しい女優になってます。彼女の出演作で諏訪敦彦監督のフランス映画「不完全な二人」が大阪では今秋公開です。 フランスに住むイギリス人。 言葉も英語とフランス語の両方。 タイム・イズ・マネーのイギリスのビジネス界とスローライフな南仏プロヴァンスの生活。 テニスの試合のフランス対イギリス対決などをユーモラスに描いたシーンなども笑ってしまう。 イギリス人でありながら、南仏に惹かれて暮らすピーター・メイルとリドリー・スコットが描くこんなスローで穏やかな生活。そして南仏プロヴァンスのやはり素敵な風景。 この映画は、暑い夏、癒しのひと時、一服の清涼剤でした。 映画でこんな映像に浸るひと時もいいものです。暑くて劇場まで足を運ぶ気が起こらない方はせめて画像だけでも癒しになるでしょうか… ロンドンの友人たちはマックスに「そんな生活はすぐに飽きる」と忠告するが…… ゴッホの絵のコピーを飾り、本物は金庫に保管している証券会社オーナーは「金か、人生か」と選択をせまる。そんなオーナーにマックスは「いつ本物を見るんですか?」と訊ねる。 余裕のあるからこそいえるセリフ…持たない私はちょっと僻んだりもするけれど。 柔らかい光の中どこまでも広がる葡萄畑、プロヴァンスの風景。こんな映像が満載です。 本作は大阪では観客は圧倒的に中年が多かったです。帰省している娘と一緒に見に行く映画として「これ観る?」って言ってもあまり乗ってこなかった。この暑い中、東京と大阪同時開催のサマーソニック野外ライブ、炎天下、立ちっぱなしの2日間、暑さもろともせずに出かける娘には、こんなスローな生活と微笑ましい大人のラブストーリーは、リズムがあわないんでしょうね。 監督:リドリー・スコット 製作:リドリー・スコット 製作総指揮:ブランコ・ラスティグ/ ジュリー・ペイン/リサ・エルジー 原作:ピーター・メイル 『プロヴァンスの贈りもの』(河出書房新社刊) 脚本:マーク・クライン 撮影:フィリップ・ル・スール プロダクションデザイン: ソーニャ・クラウス 編集:ドディ・ドーン 音楽:マルク・ストライテンフェルト 出演: ラッセル・クロウ(マックス・スキナー) アルバート・フィニー(ヘンリーおじさん) フレディ・ハイモア(少年時代のマックス) マリオン・コティヤール(ファニー・シュナル) アビー・コーニッシュ(クリスティ・ロバーツ) ディディエ・ブルドン(フランシス・デュフロ) トム・ホランダー(チャーリー・ウィリス) イザベル・カンディエ(リュディヴィーヌ・デュフロ) ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ(ナタリー・オーゼ)
by mchouette
| 2007-08-14 00:00
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