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2006年/イギリス/139分 ケネス・プラナー監督作「魔笛」を見ました。 映画レビューでなくって、私、愚痴ってるかもしれません。 「魔笛」って本来は庶民が楽しめる素敵な物語… 「魔笛」は、モーツァルト(ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト)が1791年にモーツァルトが生涯の最後に完成させたオペラとして有名で、彼の最高傑作と言われている作品。もともとは貴族中心の宮廷劇場のためではなく、一般庶民が楽しむジングシュピール(歌芝居)として芝居小屋のために書かれた作品です。ドイツ語の歌とセリフでわかりやすく構成されていて、善と悪の対決、若い二人の愛の試練、そこに陽気な鳥飼いパパゲーノがコミカルな味で盛り上げ、登場人物たちそれぞれに見せ場があり、歌と演技で楽しませてくれる見所の多い作品。 映画「魔笛」はどんなかなぁ…一抹の不安はあるけれど期待してしまう 本作は、モーツァルト生誕250年に合わせて作られたそうです。 監督のケネス・プラナーはシェークスピア作品を次々映画化し、鬼才などと言われているようですが、私は彼については、監督作品、出演作品をいくつか観ているけれど、どの辺が鬼才で天才なのかは、よくわからない。 これは、音楽を初めとする芸術活動を支援している英国のピーター・ムーア財団が英訳歌詞によるオペラの普及を目的とした映画製作事業の第1作でもあるとのこと。 この財団では200人以上のオペラ歌手への支援も行っていたそうで、だからでしょうか、出演者の顔ぶれも豪華です。ザラストロ役のルネ・パーペはオペラ「魔笛」でもザラストロは彼の当たり役として絶大な評価を得ているとのこと。夜の女王のリューボフ・ペトロヴァはオペラ「魔笛」でも同じ役を演じています。 そして、音楽はオペラ「魔笛」の楽曲をすべて使っているとなると「映画で楽しむオペラ」と、つい期待したくなります。 ケネス・プラナーは、このオペラ「魔笛」を、舞台を古代エジプトから第1次世界大戦前夜のヨーロッパへ移し、脚本をドイツ語から英語に書き換えています。 ちなみに、オペラ「魔笛」のストーリーはこんなの… 王子タミーノが大蛇に襲われているところに、夜の女王に使える3人の侍女が救出する。3人はタミーノのことを夜の女王に報告に行く。そこへ鳥を捕まえて女王に献上して暮らすパパゲーノがやってくる。大蛇のことを聞かれ、成り行きから自分でやっつけたと嘘をつくが、戻ってきた3人の侍女に見つかって口に鍵をかけられてしまう。侍女たちは王子に女王の娘パミーナの絵姿を見せるとタミーノは彼女に一目惚れしてしまう。そこに夜の女王が登場し、悪魔ザラストロにさらわれて娘を失った悲しみを語り、彼に救出を依頼する。 王子タミーノはパパゲーノとともに姫の救出に向かう。二人にはお供の三人の童子が付き添い、タミーノには魔法の笛(魔笛)、パパゲーノには魔法の鈴が渡される。 昼と夜の二つの世界。夜の女王の娘パミーナは昼の世界を支配するザラストロに育てられている。夜の女王は娘を取り返し、昼の世界の支配権をザラストロから奪取しようと、王子タミーノに娘の救出を頼む。身を守るためタミーノは魔笛を、お供として同行することになってしまったパパゲーノは魔法の銀の鈴を与えられ、二人はザラストロの神殿までやってくる。ここでタミーノはザラストロが徳の高い高僧だと知り、パミーナを救うためにパパゲーノと共にザラストロの神殿で修行をする事になる。過酷な試練を乗り越えた二人は、祝福のうちに結ばれる。復讐に現われた夜の女王は、雷鳴とともに地獄に落ちる。ザラストロが太陽が夜に打ち勝ったと宣言し、晴れて勝利者となったザラストロの高徳と栄光を讃える声が響く。 序曲のメロディにのって、広い草原が鳥瞰のように映し出される。大平原に何処までも蛇行しながら続く塹壕。ケネス・プラナーの映像センスってこういうのかしら。「から騒ぎ」の冒頭などもこんなだったような……。その中を兵士たちが走る。空から爆撃機が空中飛行をみせ、戦車が並び、タミールたちが戦っている。でも映像はあくまでも序曲に合わせて軽快なタッチ。「大蛇との格闘」をこんな形で表現しているんでしょう。塹壕はさしずめ大蛇といったところでしょうか。オペラでも大蛇をどう表現するかが演出家それぞれ解釈が違う見せ場。このあたりのタッチに、これからの展開がかなり期待できる映像でした。 私の頭が沈んでいく…… 戦場を駆けるタミーノが毒ガスを吸って倒れる。 ここで夜の女王に仕える侍女3人が真っ白い修道服姿で登場。 「私たちは天使♪~夜の女王様に報告しなければ♪~」 へっ!ここは何処? 時代は何時? 第一次大戦前夜のはずでは? 戦場に降り立った、この「サウンド・オブ・ミュージック」に出てくるような修道服姿の女3人に「夜の女王」。突然オペラ「魔笛」がそのまんまの形で突然現れたのには参った。他に演出の仕方が無かったのかしら。 直下型地震みたい。現代版とオペラ魔笛の二つの断層が次元がずれて両方現れた感覚。 頭が混乱をし始め、私の頭は劇場の座席に深く沈んでいき始めた。 しかも、夜の女王を出すなら、夜の女王らしく出して欲しい。兵士を従えて戦車の上で歌う姿には、さすがに歌唱は素晴らしかったけれど、黒いドレスを着ていたけど夜を支配する女王には見えず普通のおばちゃん。顔も童顔。映画なら「見てくれ」というものがあるでしょうに。もっと女王らしいコスチュームとメイクをお願い!夜の女王は美しくなければ……。(私、思わずDon’t thinkのぷりぷりさんのブログで見た「サムライカアサン」(http://priprinm.exblog.jp/5962319/)思い出してしまった!) 本作は皆さんオペラ歌手で品格もあり、素敵でしたけど、素のまますぎる。自然体を目指したのかも知れませんが、ザラストロなんかも普通の格好。普通でいくんなら普通でいいのです。それにしては、夜の女王は空を飛ぶし、パパゲーノのシーンはコミカルでファンタジーだし、訳わからん…です。普通だから、夜と昼、善と悪の対立の構図も曖昧だった。初めて魔笛を観た人に、映像からこの対立関係って読み取れたのかしら? 音楽と彼らの歌は、それは見事でした。これは堪能できる…… プラナーの映像センスが覗えるシーンはいくつかありました。 音楽も良かったし、彼らの歌はそれは見事でした。 特にザラストロ役のルネ・パーペの歌う見せ場はたっぷりありました。 私はパパゲーノとパパゲーナの歌う「パパパの二重唱」のシーンが楽しくて好きでした。 堪能できました。 タミーノに付き添う3人の童子たちも可愛かった。 でも、オペラと映画のストーリー、現実とファンタジー、コミカルとシリアス、消化不良のようにバラバラでまとまらずギクシャク感がありました。 パパゲーノのこんなシーンは楽しかった…こんなシーンもそこだけで浮いていたような…勿体無いなって思いました。見せ場が見せ場になってなかった。 現代風にアレンジせずに素直にオペラ「魔笛」のまま映画化したほうが良かったと思う。 アレンジするなら、いっそう、ファンタジー色溢れるミュージカル仕立ての方がもっと分かりやすかったのに…なんて思ってしまう。でもそれはオペラの普及を目的とする財団の意図から外れるわけですね。 財団との力関係なんかも、あったのでしょうね。そんな穿った見方もしてしまう。 そして、ケネス・プラナーって、真面目な方なんでしょうね、きっと。本作の映像見てなんかそう思いました。(説明になっていない私のいつもながらの根拠のない感想) 深く沈みきったまま浮上せずに終わってしまいました…… これは8月1日(水)仕事帰りに、例の「水曜日の彼女」と観ました。 映像が終わるや否や、私と彼女、思わず互いの足を蹴りました。まさか、スクリーンに向って座布団は投げれないでしょう。何処にもぶつけられないから相手の足蹴るしかない。 この日は映画の日とレディス・デーが重なって満席でした。 見られた方の反応はどうだったのでしょうか? オペラ未見の方はこれみてどう思われたのでしょうか? 1000円で一流の歌と音楽が聴けた。そういう考え方もあるのでしょうけど、映画ファンとしてはそれは淋しい。映画ならではの見せ方もあるだろうし、映像で「魔笛」を堪能したいと思う。 イングマール・ベルイマンの「魔笛」に期待… 先日逝去されたイングマール・ベルイマンが1974年に「魔笛」を映画化しています。 ベルイマン作品でこれは未見でした。休みにゆっくり観ます! 1975年に 「素晴らしいオペラがいかに映画になるかのお手本を示したことに対して」ベルイマンは全米批評家協会賞特別賞を受賞してます。 下の写真だけで、ワクワクしてきます。 監督:ケネス・ブラナー 製作:ピエール=オリヴィエ・バルデ 製作総指揮:スティーヴン・ライト 脚本:ケネス・ブラナー/ スティーヴン・フライ 撮影:ロジャー・ランサー プロダクションデザイン:ティム・ハーヴェイ 衣装デザイン:クリストファー・オラム 編集:マイケル・パーカー 音楽:ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト 音楽監督:ジェームズ・コンロン 演奏:ヨーロッパ室内管弦楽団 指揮:ジェームズ・コンロン 出演: ジョセフ・カイザー(タミーノ) エイミー・カーソン(パミーナ ) ルネ・パーペ(ザラストロ) リューボフ・ペトロヴァ(夜の女王 ) ベンジャミン・ジェイ・デイヴィス(パパゲーノ) シルヴィア・モイ(パパゲーナ) トム・ランドル(モノスタトス)
by mchouette
| 2007-08-04 00:00
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