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2006年/アメリカ/180分 at:梅田ガーデンシネマ ローラ・ダーン演じる、落ち目のハリウッド女優ニッキー・グレースが未完のポーランド映画「47」のリメイク「暗い明日の空の上で」の主演で再起を狙おうとするが、相手役と不倫関係になり、映画と私生活の区別がつかなくなる……。 女優ニッキーの世界 ハリウッド映画「暗い明日の空の上で」の世界 ポーランド映画「47」の世界 ウサギ人間がいる世界 テレビの映像をみて涙を流すロストガールの世界 こんな5つの世界がめまぐるしく交錯する。 過去と現在が、場所が、次元が、幻想と現実が、世界が奇妙に捩じれ、突然に繋がる。 女優のニッキーと劇中の役スーザンが境界も見えないまま突然に現われ、めまぐるしく入れ替わる。ウサギ人間まで登場する。音楽とノイズのラビリンスに入り込んだかのような……。 前作「マルホランド・ドライブ」では、ブルーボックスを支点にして、二つの世界が捩じれて繋がり、あぁ、そういうことだったのかと、符号の一致があり、これは面白く観れた。 けれど、本作は脈略はなく、目の前の映像に、あっ、そうか、と思った次の瞬間、次に現われたシーンで、掴んだと思ったことが、いとも簡単に振り落とされて、またまた、迷宮に落ち込んでしまう……。ここがどこの世界なのか、考えている間に映像は次の世界に勝手に飛び込んでいる。 本作のローラ・ダーンは凄かった。彼女の熱演だけが妙に目立っていた。 「ブルー・ベルベット」のあの清純な乙女だった彼女が、厚化粧の中年女優になり、上流社会の女性になり、下級社会の女性になり、また不倫相手の妻に刺され、スターがはめ込まれたハリウッドのストリートをのたうって走り、心神喪失に陥ったりと、演技全開。 ジェレミー・アイアンズがハリウッドの監督役で出演していたけれど、自分が何を演じているのか、判らないままだったのではないかしら。劇中劇と現実の二重の恋愛関係ということで「フランス軍中尉の女」と重ね合わせての彼の起用でしょうか。ニッキーが劇中の役と自分との区別がつかなくなり、現実の不倫相手を役柄で何度も呼ぶシーンは、「フランス軍中尉の女」で去っていったメリル・ストリープを彼女が演じた役名で呼ぶシーンと重なる。他にもいろんな映画から引用したシーンが多くあった。映画通だったら、どの映画と考える楽しみもあるんでしょうけど……。 「硫黄島からの手紙」で二宮君の妻を演じた裕木奈江が、なぜかホームレス役でたどたどしく英語で話すシーンがあった。彼女の語る娼婦の話はグロテスクだけど面白かった。 これでラスト?と思ったら次のシーンが出てきて…もうラスト?新たなシーン…そんな繰り返しがいくつか続いて 「ツイン・ピークス」の最後の方、まだ終わらん、いつ終わるんだ!どない終わるんだ!の感覚をちらっと思い出してしまった。 途中、何度かうとうとする時があったけど、すぐにカンフル剤的な映像がでてきたり、ラストはなぜかミュージカルのカーテンコールのようなシーンで、観終わったときは疲れも重さも感じなかったかわりに、インパクトも面白さもなく、「終わった!」という感想。3時間も見せられて頭の方は少し疲れたみたい。 ともかく3時間というもの、映像みて何かを考える間も感じる間もなく、デヴィッド・リンチの映像と音楽とノイズのコラージュ作品とでもいえる彼の趣味に引きずり回されたみたい。 盛り上がっていたのはデヴィッド・リンチとローラ・ダーンだけではなかったかしら。 デヴィッド・リンチは、こんな映像の次は何を撮るんだろう。 監督:デヴィッド・リンチ 製作:デヴィッド・リンチ /メアリー・スウィーニー 脚本: デヴィッド・リンチ 撮影: デヴィッド・リンチ/エリック・クレーリー/オッド・イエル・サルテル/オーレ・ヨハン・ロシュカ 出演: ローラ・ダーン( ニッキー/スーザン) ジェレミー・アイアンズ( キングスリー・スチュワート監督) ハリー・ディーン・スタントン( フレディ) ジャスティン・セロー( デヴォン/ビリー) カロリーナ・グルシュカ (ロスト・ガール ) スコット・コフィ グレイス・ザブリスキー ダイアン・ラッド ジュリア・オーモンド ドリス アマンダ・フォアマン ジョーダン・ラッド スタンリー・カメル メアリー・スティーンバージェン ローラ・ハリング ナスターシャ・キンスキー マイケル・パレ ウィリアム・H・メイシー 裕木奈江 ピーター・J・ルーカス クシシュトフ・マイフシャク ファントム エリック・クレーリー Mr.K
by mchouette
| 2007-07-30 00:00
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