by mChouette 検索
カテゴリ
全体 ■映画 =映画:あ行 =映画:か行 =映画:さ行 =映画:た行 =映画:な行 =映画:は行 =映画:ま~わ行 ■映画・雑記 ■ドラマ ■展覧会・コンサート ■一冊の本 ■徒然なるままに… ■美味しいもの ■アウトドア・旅 ■勝手にバトン ■ご挨拶・お知らせ 未分類 最新の記事
その他のジャンル
|
LE PETIT VOLEUR( 1998年/フランス/63分 Vivajijiさんのブログで紹介されていた作品です。ブログの記事に載っていたのっけの写真、S役のニコラ・デュヴォシェルの、痛みを感じるようなナイーヴな表情に惹かれて本作を見ました。(vivajijiさん、紹介ありがとうございました) 63分という短い物語。 でも「S」と呼ばれる少年の内面を濃密に描いた作品。 パン屋で働く18歳の少年Sは、小麦粉にまみれるだけの退屈な仕事に嫌気を指し、人にこき使われるのは真っ平だ、金持ちの金を盗ってやるといきがり、恋人の給料をかっぱらって、オルレアンの街を飛び出した。マルセイユにやってきた彼は、ボクシング・ジムを根城にするワル仲間にも加わるようになる……。 監督は『天使が見た夢』で、1998年カンヌ国際映画祭にて2人のヒロインに主演女優賞W受賞をもたらし、さらに1999年セザール賞作品賞受賞したエリック・ゾンカ監督。脚本は、ゾンカ監督と、そして最初の短編から一緒に仕事してきたヴィルジニー・ヴァゴンが本作でも協力してます。 マルセイユにきたSは、仲間達と強盗を働き、兄貴分にあごでこき使われ、蹂躙される毎日。そんな鬱屈した、何処にもぶつけられない、そんな気持ちをサンドバックや石塀に向ってパンチをたたきつける。イヤと言うほどの挫折感と焦燥感。俺は何やってんだ! 俺は何を夢見ていたんだ! 俺は何をしたかったんだ! この先に何があるんだ! 俺は… 俺は… そんな「S」の、言葉にならない心の中で渦巻くものを新人のニコラ・デュヴォシェルが見事に演じていました。 ハンディカメラによる撮影が、さらに説得力のある映像に仕上がっていました。 S役のニコラ・デュヴォシェルに注目したい一作。 物語は、再びパン屋で働くSの姿を映している。Sの喉には、仲間を裏切り逃げ出した者の報復としてワル仲間に切り裂かれた「傷跡」が横に長くくっきりと残っている。給料の一部をオルレアンの恋人に送る。失った時間は取り返せるのだろうか。 Sは黙々とカッターでパンに切り目を入れていく。 自分の中の痛みを噛みしめるように、何かを刻みつけていくかのように…Sのそんな心を感じる。 こうして人は大人になっていくのだろう。Sのみせる表情は穏やかで静かだ。 初めてこの作品を観た時は、Sに感情移入し過ぎていたんでしょうね。パンに刻み込まれた、その切り口に、Sの喉に刻み込まれた傷と重ね合わせ、Sの内に刻み込まれた痛みのように敏感に反応してしまいました。こんなラストに、過ぎ去った私の時間のなかの古傷が疼くような、そんな辛さと痛みを感じました。結局2回観てのレビューとなりました。 この作品は、スクリーンで、もっと強烈に「S」を感じたかった。 S役のニコラ・デュヴォシェルの演技をもっと観たくて出演作を調べたら、2作目は『情痴アバンチュール』。リュディヴィーヌ・サニエ演じる夢遊病の美女に惹かれていく青年役を演じている。先日のフランス映画祭の上映作品の一つ。チェックしていたが大阪でも少し前に一般公開されていたけれど、劇場が遠いため観そびれてしまった作品。もう少し早く「さよならS」を知っていれば、彼の演技を観にいったところなのに、残念。 監督:エリック・ゾンカ 脚本:エリック・ゾンカ / ヴィルジニー・ヴァゴン 撮影:ピエール・ミロン 出演: ニコラ・デュヴォシェル エミリー・ラファルジェ ジャン=ジェローム・エスポジト ヤン・トレグエ ジョー・プレスティア マルシャル・ベゾ ジャン=アルマン・ダロンバ イングリッド・プレイナム ヴェロニク・バルム オリヴィエ・ジェルビー ドミニク・アベラール ジルベール・ランドロ
by mchouette
| 2007-07-27 00:00
| ■映画
|
ファン申請 |
||