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スペインの明るく強い太陽と、そんな太陽の陽射しに鍛えられたラテン気質の女の逞しさとおおらかなアバウトさには疲れた。
VOLVER 2006年/スペイン/120分 at:ナビオTOHO カンヌ映画祭でペネロペ・クルスはじめ出演した6人の女優全員に最優秀女優賞が授与されたことでも話題となった映画。 アルモドバル監督の故郷のラ・マンチャが舞台 ペネロペ扮するライムンダは仕事もせずに酒ばっかり飲んでる亭主抱えて、朝から晩まで働く頑張るしゃきしゃき女房。そんなままならぬ生活に一人になるとふと泣きたい気にもなるけど、気丈夫に生きてる女。そんなライムンダを中心に、思春期の娘、おっとりした姉、隣人、気のいい女友達、叔母、そして死んだはずの母親。そんな女たちで繰り広げるラ・マンチャの下町の人情物語…とでも言うんでしょうか。 女は子供を産み母になると強くなる。そんな女の強さ、逞しさを前面に打ち出した映画なんでしょう。私も子供産んでるからよく分かる。子供のためなら生命はれるし、文句なしに子供を抱きしめられる。 そして、下半身がだらしない男に苦労させられながら、頼りになるのは女同士。そんな女たちの結びつきが描かれている。 日本でも、核家族化になる前、村社会が健在だった頃はこうした女同士の結びつきは存在していたし下町などでは今もそんな関係は残ってるでしょう。そんな下町の人情をテーマにした作品も多く映画化されてます。「フーテンの寅さん」とか… チュッチュ、チュッチュ派手な音をたてて挨拶のキスを交わすラ・マンチャの女たち。 女たちが総出で行う墓掃除のシーンとか、笑いを誘うユニークなセリフとか、途中から死んだはずの母親が生きていて…と思わぬとこで新たな伏線が出てきたりとか、そして、私がアルモドバル監督作品で好きな赤の色彩センス、これも今回も健在で、120分の下町の人情喜劇としては面白く観れました。 ただ、私は日本人だからでしょうか。 スペインの明るく強い太陽と、そんな太陽の陽射しに鍛えられたラテン気質の女の、その場その場で動くアバウトさ、ある意味これは逞しくもあり、強くもあるるんですが、そんなものに私は観ていてちっと疲れました。時にはイラついた。 「アタメ」「神経衰弱ぎりぎりの女たち」「キカ」とかの、女たち、あのドタバタ、逞しさ、アバウトさ、何でもありは好きなんですけどね。 母に安らぎを覚え、傷ついた気持ちで癒しを求めるのは、帰巣本能のある男の方。 女は、母になって初めて、母の女としての哀しみが分かる。母に対する娘の気持ちは安らぎを抱くというよりも、女として労わりあう、そんな気持ち。安らぎとは違う。 女性賛歌といわれるこの映画。あくまでも男の視点からみた女たちの物語でしょう。 今まで、好き勝手なんでもありのアルモドバル監督、心境の変化か、お疲れなのか、急に故郷の母の胸が恋しくて…なんて言われても、どう受け止めていいのやら…… ライムンダの母に対する葛藤、母の娘に対する負い目…これが本作での隠されたテーマなんでしょうが、そんな母と娘の関係にも、その場を生き抜くアバウトさを感じてしまい、母と娘がひしと抱きあうシーンも浪花節的なくささを感じてしまった。 母の大きな愛を語るんだったら、同じスペイン映画「ローサのぬくもり」は、胸にすっと沁みてきた、小作品ながら素晴らしい作品でした。何も言わず、でも気がつけばそこに母親の細やかな視線、愛があふれている。全てを肯定し、娘の乾いた心に水が沁みるような母親ローサのぬくもりのある愛。 きっと本作は私好みのテイストではなかったのでしょう。 他のブログでは、皆さん、素晴らしいと、母と娘の触れあう愛を賞賛されてましたけど、私はこの作品、人情喜劇で面白く見れたけど、しっくりこなかった。 アルモドバルの作品で好きなのは「キカ」。 「キカ」が好きな理由の一つに「赤」の色使いがとても素敵なこと。 今回も「赤」がいっぱい。血とか食器とか洋服とかあちこちいっぱい「赤」が出てくるけど、どれもとても魅力的。この辺のセンスはさすがと思いました。 私としてはこの映像だけで充分。 アルモドバル監督、故郷を思うほど心がお疲れれだったのでしょうか。 でも今回は今までになく「赤」が多用されていたけど、なぜか私には血が沸き躍るエネルギッシュな「赤」というよりも、落ちついた分別のある「赤」に感じられた。 女性賛歌3部作の本作が最終章と言われてるけど… 「オール・アバウト・マイ・マザー」 「トーク・トゥ・ハー」 そして本作「ボルベール<帰郷>」 こうやってみたら、私が胸に沁みてくるというか、寄り添えるのは「トーク・トゥ・ハー」かしら。(あのストーカーまがい男がちょい素敵だったら良かったんですけどね…アルモドバルに似てる) ヘタレな私には、逞しく頑張る女の姿は「偉いなぁ」って思うけどちと疲れるところがある。 それとペネロペ・クルスはやはり彼女にはスペインの空気がしっくり馴染んでいる。彼女ってもともと色気のない女優ですよね。どちらかというと男。下町のシャキシャキ女、こんな役が似合ってました。 「ベル・エポック」とか「オープン・ユア・アイズ」「オール・アバウト・マイ・マザー」のころは初々しくって可愛かったのに、ハリウッドに行ってからかしらね、目の隈取り化粧。
by mchouette
| 2007-07-10 06:00
| ■映画
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