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食わず嫌いで観なかった映画のうちの1本
「嵐が丘」が食わず嫌いだったのではありません。 本も夢中になって読みました。ワイラー監督「嵐が丘」DVDでも持ってます。 食わず嫌いだったのはこれ! 「嵐が丘」 1847年エミリー・ブロンテが発表したイギリスのヨークシャーの荒野にある館「嵐が丘」を舞台にした物語。 原題は「Wuthering Heights」 復讐にまで人を駆り立てずにはおれないほど狂おしいまでのヒースクリフのキャサリンへの愛。そしてヒースが生い茂る荒涼とした、来る人を激しく拒絶するかのような自然、風土。その、どれもが泣きたいくらいに激しく私に迫ってくる小説だった。 この小説から愛にまつわるいろんな匂い、言葉を嗅ぎとった。 ようやく思春期の入り口にたった中学生のころ、夢中になって読んだ。 「官能」などという言葉も、その意味すらも知らなかった頃、その匂いを全身で浴びた、恐らく初めての小説だったと思う。 初めての映画化作品がこれ! 1939年製作のウィリアム・ワイラー監督作品。ヒースクリフにローレンス・オリヴィエ、キャサリンにマール・オベロン。 映画では、ヒースクリフとキャサリンの愛の部分を描いており、子供たちの話にまで至っていないが、モノクロ映像、荒涼としたヨークシャーの自然、そして狂気にまでいたるヒースクリフの愛。小説の世界を映像でさらにかきたてられた映画だった。 私の中でワイラー監督の「嵐が丘」がしっかりと刻み込まれた。 これを書きながら、ドキドキしてくる。 それくらい私にとっては思いいれのある「嵐が丘」。 最近、50年という著作権が切れて廉価販売しているのでDVDも買って、久しぶりにワイラー監督の「嵐が丘」を堪能した。 そして1992年製作国イギリスの「嵐が丘」 イギリス版「嵐が丘」の映画公開を知った。 本家イギリス版の映画。リアルタイムで観れると嬉しくなったが、キャサリン役がジュリエット・ビノシュと知り、がくりときた。ジュリエット・ビノシュをイギリスに招致しての映画化とのことだったが、私の中のキャサリンのイメージとは彼女はほど遠い。 イギリス映画なら女優もイギリス人をキャスティングしろと言いたくなる。 キャサリンは氷と燃え盛る炎の二つを持っている女性。 そして何よりもあのヨークシャーの自然の中で凛として立てる女性でなければならない。 ジュリエット・ビノシュの目にはそれがない。 劇場には行かず、今まで観なかった。何度かレンタル・ショップの棚で取りかけてはやめた。 レイフ・ファインズのヒースクリフが好評だったので、それは気になっていたけれど、私の中の「嵐が丘」を大事にしたかったから… やっと、先日、食わず嫌いで見なかった映画を観ようと思い切ってレンタルした。それほど悲壮な思いをしなくてもいいのだけれど、映画をみて、がっくり来るのは嫌だから、やっぱり観るべきか観ざるべきか、うじうじと迷ってしまうところがある。 レイフ・ファインズの演じるヒース・クリフは、ローレンス・オリヴィエとは違う味ながら、レイフの目が良かった。このヒースクリフは見ごたえがあった。 かたや、ジュリエット・ビノシュ演じるキャサリンはというと、無難にこなしてはいるけれど、やはり炎の激しさも凛とした冷たさも彼女からは伝わってこなかった。 この映画、原作に忠実に描いているけれど、原作のハートをどっかに置き忘れたのではないかしら。小説に流れるあの厳しく荒涼とした自然の息遣いが感じられなかった。 石ころの上を二人で歩かせるなんて、二人が歩くのは一面にヒースが茂る原野だろうが… ヒースクリフの名前の意味を、キチンと押さえろ!なんて言いたくなってしまう。 ヒースクリフ(Heathcliff)は「ヒースの崖」という意味。 出奔したヒースが嵐が丘に戻ってきて再会したキャシーは、落ち着いた普通のミセス。 復讐の炎も消えようものなのに、と思ってしまう。 劇中でもキャシーについてメイドが語るシーンがあるが、その言葉に表現されるキャシー像とビノシュの演じるキャシーはかけ離れている。 ヒースクリフが見ているのは、もはや目の前にいるキャシーではなくて、彼の中に棲みついてしまっているキャシーなのだろう。 ジュリエット・ビノシュは、こうした文芸作品よりも、彼女の逞しい下半身は、大地をしっかりと踏みしめて生きる、そんな市井に生きる、生活感のある女性を演じるほうが際立つと思う。 「隠された記憶」の主婦、「パリ、ジュテーム」愛する息子を亡くした母親など、最近のビノシュはいい。「イングリッシュ・ペイシェント」のハナの、畑に入った鳥を追い払うあの生活感のある姿はビノシュだろう。 「汚れた血」での、あのおかっぱ頭のビノシュも好きだったけどなぁ。 レイフ・ファインズ出演の日本公開作で見ていなかった作品「嵐が丘」がやっと観れたということで満足としておこう。 それと、二人をずっと見ていたメイドのネリーが良かった。 ウィリアム・ワイラー監督の「嵐が丘」が、いまのところ私の中では唯一の映画「嵐が丘」 ただ、「嵐が丘」の映画化作品で見たい作品が一つある。 1953年にルイス・ブニュエルがメキシコを舞台にした「嵐が丘」。 日本での初公開年は1987年とあるが、子育て中の母をしていた私は見ていない。 allcinemaの映画レビューでは 「E・ブロンテの原作の神秘性が具現化され、かの大作は86分に集約、密度の濃いラテン的な情熱の物語の、その暴力性には全くめまいがする。主人公のヒースクリフをアレハンドロ、ヒロインのキャサリンをカタリナ、とスペイン名に改め、舞台をヒースの丘からメキシコの砂漠へと置き換えている。養子として育てられたアレハンドロと、彼と幼少の頃より愛しあっていたカタリナ。しかし、兄によって二人の仲は引き裂かれてしまう。故郷を離れ、実業家として成功し、復讐の念に燃え帰郷したアレハンドロを待ち受けていたものはカタリナの訃報。亡骸に接吻する時の愛と呼ぶより狂気、そして、怒涛のラスト。呆気に取られること必至のブニュエル演出が炸裂する。音楽もワーグナー(“トリスタンとイゾルデ”)ですからねぇ……。どこまで西欧的なるものをコケにすれば気がすむんでしょう。」 こんなん読んだら、これはもう観たいと思う。 レンタルショップにもない。市場に出回っていない。どこで見れるんでしょう。 映画化された「嵐が丘」…たくさんあるんですね。驚きです。 ■「嵐ケ丘」"Wuthering Heights" 1939年製作/アメリカ 監督:ウィリアム・ワイラー/主演:ローレンス・オリヴィエ、マール・オベロン ■「嵐が丘」"Abismos de Pasion" 1953年製作/メキシコ 監督:ルイス・ブニュエル/主演:イラセマ・ディリアン、ホルヘ・ミストラル … メキシコの砂漠が舞台 ■「嵐が丘」"Wuthering Heights" 1970年製作/米英合作 監督:ロバート・フュースト/主演:アンナ・カルダー・マーシャル、ティモシー・ダルトン ■「嵐が丘」"Hurlevent" 1986年製作/フランス 監督:ジャック・リヴェット/主演:ファビエンヌ・バーブ、リュカ・ベルボー …フランスの田舎が舞台 ■「嵐が丘」 1988年製作/日本 監督:吉田喜重/出演:松田優作、田中裕子 … 鎌倉室町時代の日本が舞台 ■「嵐が丘」"Wuthering Heights" 1992年製作/イギリス 監督:ピーター・コズミンスキー/主演:ジュリエット・ビノシュ、レイフ・ファインズ
by mchouette
| 2007-07-05 00:00
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