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『俺たちはミケランジェロとダヴィンチの子孫だ。』
1987年/イタリア・フランス・アメリカ /118分 19世紀初め、聖堂修復職人のイタリア人兄弟。 アルチザン(職人)魂が、産声を上げたばかりのハリウッド・「イントレランス」の撮影現場で花開いた。 映画を愛する人が作った映画を愛する人たちに捧げた映画。 ロビン・ウィリアムズがベトナムの地でアメリカ兵に向かって元気いっぱい叫ぶ「グッドモーニング・ベトナ~ム」ではありません。 タヴィアーニ兄弟監督作品「グッドモーニング・バビロン」です。 イタリアのロマネスク大伽藍の建築と修復職人の兄弟が、誕生期のハリウッドに渡り、映画製作現場に携わり、そして第一次対戦に赴き……イタリア・アルチザン(職人)魂をもつアンドレアとニコラ、二人の兄弟の物語です。 舞台は、アメリカ映画の父といわれたD.W.グリフィスが「国民の創生」についで取り組んだ「イントレランス」の撮影現場。兄弟はそこで壮大な城門のセット建築に関わります。 これは1915年にサンフランシスコで開催された「パナマ・太平洋博」で、イタリア人が建てた宝石塔が話題になり、そのイタリア人建築職人が「イントレランス」の美術スタッフとして招かれたという実話に着想を得て作られた物語。 映画祭で次々と受賞し高い評価をうけているタヴィアーニ兄弟にハリウッドの製作プロデューサーが監督を依頼しに行ったとき、タヴィアーニはハリウッドのやり方と我々のやり方と違うといって断ったという。それでも製作プロデューサーは引かず、これはイタリア人の物語だといってタヴィアーニ兄弟を説得したという。 タヴィアーニ兄弟は、これはアルチザン(職人)の物語だと語っている。 大理石の大伽藍という歴史に残る大作を作ったのもアルチザンの集まりであり、誕生したばかりのハリウッドで、人々がまだハリウッドの意識もなく、映画という仕事がすばらしいから集まってきたアルチザンたちがセルロイドの大伽藍をこしらえた。。過去の時代の大伽藍修復のアルチザン魂が映画という新しい時代に引き継がれていった。これがこの映画のテーマだと語っています。 そして映画を愛するすべての人に捧げられた物語でもあります。 作中、イントレランスの製作現場が再現されており、音楽も楽団員が演奏する中でシーンの撮影が行われたり、夜と昼も暗幕を引いたり閉めたりするなど当時の撮影風景なども面白い。また今では見ることができないイントレランスの映像の一部がさしはさまれていたりと、こういうところも映画ファンには嬉しいのでないでしょうか。 映像も今までのタヴィアーニ兄弟の映像に、ハリウッドの明るさと、当時のファッション、そして実際の楽団が演奏する撮影現場など優雅さも加わった映像です。 森の中で、兄弟が恋人と愛を語るシーンもとてもファンタステッィク。 そして何よりもアンドレアとニコラ、この兄弟のまっすぐな心が爽やかです。 *お兄さんのアンドレア(右)キーファ・サザランド主演TVドラマ「24」シーズン3観ていたら、ギャングのボス役で出たました。ちょっとショックでした。 1913年頃のイタリア中北部トスカーナ地方。 ボナンノ・ボナンニ親方の合図で幕が外された。中世イタリア・ロマネスク様式の「奇跡の聖堂」の修復が完成し、聖堂は今建てられたばかりのように美しい威容を表している。 この修復は、ロマネスク大伽藍の建築と修復を代々の家業としてきたボナンニ一家の最後の仕事だ。 不況の中、7人の子に決断を委ね、引退を決意する一家の父ボナンノ。 家を売る決意をする兄たち。しかし修復で「黄金の腕を持つ二人」と言われる末息子の二人ニコラとアンドレは家業をなんとか続けようと、修復資金を稼ぐためアメリカへ出稼ぎに行くことを父に告げる。 そんな二人に父ボナンノは「お前らを平等に愛している。一緒にいることがお前らの力だ。それを忘れると敵同士だ。それはお前らの秘密であり、神の秘密なんだ」という。 そしてアメリへ行くという末の二人の息子に「イタリアが夜のとき、アメリカは朝だ。わしは夜寝る前にお前たちにこう言おう。『お早う、アンドレ、お早う、ニコラ』と」 これが「グッド・モーニング・バビロン」の「グッド・モーニング」のタイトルの由来。 バビロンは兄弟たちが関わった「イントレランス」の都「バビロン」から来ている。 しかし、アメリカについた二人は仕事を求め州から洲へ渡り歩いた。けれど言葉が満足に話せないため、仕事は野良仕事や豚の世話しかない。修復の夢は遠くなるばかり。 ある日、列車から懐かしいイタリア語のアリアを歌う声が聞こえてきた。 彼らは石工職人で、サンフランシスコの万博でイタリア館を造るのだという。「僕達も職人です。奇跡の大聖堂を修復した」 走り出した列車を見送る二人。突然はじかれた様に二人は列車に向かって走り出した。声援を送るイタリア職人たち。遂に兄弟は列車に追いつき、飛び乗った。 万博でイタリア館が話題になり、新聞に「イタリアの棟梁と職人たち」と見出しのついた写真が載った。端には小さくアンドレとニコラも流行の服を着て写っている。 イタリア映画「カビリア」も大成功を収めた。この映画をもう一度一人で見たいという男がいて、劇場と楽団を借り切った。 この男こそ、アメリカ映画の父といわれた映画監督D・W・グリフィスその人だった。 この映画をみたグリフィスは言った。イタリアの棟梁を製作スタッフに加えろと指示する。 これを聞いた兄弟は、一足先にすでにアメリカを発った棟梁たちに成りすまし、ハリウッドに行く。 結局、うそがばれてしまうのだが、ここで帰ったら後がない兄弟。働かせてくれと頼むがアメリカのスタッフたちは、イタリア人は仕事をサボってばかりだと散々イタリア人を馬鹿にする。思わず兄弟は彼らに啖呵をきる。 「俺たちはミケランジェロとダビンチの子孫だ!。お前たちはどうだ」歴史のないアメリカ人たちはさすがにこれには黙ってしまった。 ともかくも、なんとか仕事にありついた二人。しかし、はじめは映画で使う大量の鳥たちの世話。森の中の鳥小屋で暮らす羽目に。 そんな撮影現場で兄弟は女優を目指す二人の女性と出会う。 そこはミケランジェロとダビンチの子孫の二人。 「君の美しさは雪を頂く山。君が溶けぬよう僕が影になろう」となんとも詩的な恋文を、これまた鳥篭にいれて彼女たちに届ける。 これには撮影現場の女性たちは感激し、この話はスタジオ中に広がり、鳥小屋の兄弟たちはす っかりみんなに知られるようになる。 でも仕事は撮影の裏方ばかり。兄弟は慰みに、最後の修復をした大伽藍に彫られてあった像を思い出し、森の中に巨大な像の模型を作る。 これがグリフィスの目にとまり、二人は美術主任として迎えられることになった。 ようやく女神が兄弟に微笑んでくれた。 そしてせっせと恋文を送った彼女たちとも兄弟はなかよく合同の結婚式を行い、そろって妊娠し、そしてイントレランスが完成し、試写会が行われた。 おりしも世界は第一次大戦に突入しようとしていた。 新聞は「反戦映画『イントレランス』の完成試写会に抗議デモの恐れ」という見出しが書かれた。 しかし試写会は大成功を収め会場は拍手の嵐。特に美術を担当したアンドレアとニコラにはさらに大きな拍手が起こった。 そんな折り、二人の妻たちはそれぞれ産気づき、そろって病院へ。 兄の二コラ夫婦に先に子供が生まれた。しかし弟のアンドレアの妻は子供を生んだ後、難産で死んでしまった。 慰めるニコラ。 しかしアンドレアは「俺たちはもう平等じゃない。」という。子供のころからずっと一緒だった兄弟は訣別してしまう。 そして第一次大戦。ともに戦争に赴いたアンドレアとニコラは戦地で再会する。 瀕死の痛手を負った二人。 死んでしまったら、子供たちは僕たちの顔を知らないままだ。二人は、カメラマンが死んだためニコラが替わりに持たされた撮影カメラを回し始める。 いつかこのフィルムをみるだろう、カメラの向こうの子供たちに向かって、両手を上げ子供たちを祝福する。 このシーンは観るたびに鼻の奥がツンときます。決して感傷的には描いていないんですけどね。 そして、彼らの後ろには、美しいロマネスク様式の教会がひっそりと建っていた……。 タヴィアーニ兄弟の作品の中でも特に好きな作品です。 監督:パオロ・タヴィアーニ/ ヴィットリオ・タヴィアーニ 製作:ジュリアーニ・G・デ・ネグリ 製作総指揮:エドワード・R・プレスマン 原案:ロイド・フォンヴィエール 脚本:パオロ・タヴィアーニ/ ヴィットリオ・タヴィアーニ 脚本協力:トニーノ・グエッラ 撮影:ジュゼッペ・ランチ 音楽:ニコラ・ピオヴァーニ 出演: ヴィンセント・スパーノ ヨアキム・デ・アルメイダ オメロ・アントヌッティ グレタ・スカッキ マルガリータ・ロサーノ チャールズ・ダンス
by mchouette
| 2007-05-27 00:17
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