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ガンで生存率50%と宣告された青年の物語。 シアトルのラジオ局で働く27歳のアダムは、酒もタバコもやらず、整理整頓きちんタイプの真面目な青年。その彼の親友カイルはアダムとは正反対のがさつで粗雑野郎。どうやら高校時代からの友人のよう。 脚本のウィル・ライザーは実際にガンを克服し、それを脚本としてかきあげ、アダムの親友カイル役で出演しているセス・ローゲンが製作を努めての映画化だとか。本作のカイルはセス・ローゲン自身でもあるとのこと。彼が実際に言った言葉なども映画で使われているらしい。 それにしてもアダム君。恋人が出来ても彼女のペースを尊重してしまう優しさというか、柔というか…どんな母親に育てられた? と思っていたら彼の母親役がアンジェリカ・ヒューストン。 さもありなんと納得してしまうこのキャスティング! 愛情強すぎて、気丈夫で、思うあまりついつい自分を押しつけてしまう。それが大人になった息子には煩わしい。でもママの躾けは彼の生活の中でしっかり生きている。 ネタバレになるけれど、手術が終り、執刀医が出てきて手術の様子を詳しく説明する。でも家族が聞きたいのは手術は成功したのかどうかだけ。最後に手術の成功を告げる医師に「それを先に聞きたかったのよ」と言いながらお礼のハグをしながら、医師の肩越しに「この医師ダメね。役立たず」と言わんばかりのシニカルな視線をカイルに送る、そんなあたりもアンジェリカ・ヒューストン上手いナァ。 50%は生きる確率があるのに、泣かれたり、腫物に触るみたいに特別扱いされたら、そんなりアクションに逆に戸惑ってしまう。 僕はいたって平常心で受け止めている。 病院の奨めでセラピーを受けるが、担当はアルバイトに毛の生えたような若い女性で、セラピスト見習い中の学生で、論文のテーマにもするんだそうだ。それもムカつくし、こんな奴に僕の何が分かるんだ、何をアドバイスできるんだって、彼女の言葉の一つ一つが白々しく思えてくる。 がさつな友人のカイルは、相変らず粗雑で、「あいつはガンなんだ、慰めてあげたいんだ」とかなんとかナンパの手に使って、したくもないナンパにつき合わされる。 でも、酔っ払ったカイルを送って彼の部屋に行くと、ガン患者にいかに接するかという本があって、ページのいたるところが折られていて、アンダーラインが惹かれていて、彼流のやり方でもってアダムを励ましてくれていることを知る。 何気ない言葉に隠されたその人の本当の優しさや情けを感じ、生存率50%の恐怖の中でセラピストのキャサリンの穏やかさに癒しを見出し、ガンになった子を必死に思っている母の愛を知り、痴呆症の父親を愛しく思い…… アダムの心情が細やかに気負いなく綴られている。 当初、アダム役はジェームズ・マカヴォイだったけど、スケジュールが合わなくってジョセフ・ゴードン=レヴィットがキャスティングされたんだそうだ。 う~ん、ジェームズ・マカヴォイだったら、もうすこしリアルなシリアス感が漂っていて、ちょっとしんどかったかも。 否も応もなく受け入れざるを得ない、ガンになってしまった僕。 そんな僕を、どこか呆然としながらもどっかハイテンションで、覚悟などは沸いてこず、でもとにかく平常心で前向きでありたいと、決してドラマティックに考えず、淡々とありたいと思う、そんな僕を、ジョセフ・ゴードン=レヴィット君ならではの雰囲気で、観ていて、とても自然に受け止められた。 なんといっても彼が最後に見せるあの笑顔。 彼ならではの、眼がなくなって、ニ~ッとしたあの笑顔が実にいい。
by mChouette
| 2013-02-07 00:00
| ■映画
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