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観にいこうと思っている矢先に、2011年3月11日に発生した東北大震災で上映中止。WOWOWにて鑑賞。 フランスの女性ジャーナリストのマリーは、東南アジアに旅行中に津波にのまれ臨死体験を経験。その時に見た不思議な光景を忘れることができずにいる。 イギリスの少年マーカスはいつも一緒だった一卵性双生児の兄を亡くした喪失感から立ち直れず、死後の世界にいる兄との交信を望み、霊能者といわれる人たちをネットで探しては訪ね歩く。 アメリカ人ジョージは、かつては霊能者として知られ、その人に触れることでその人の過去を見ることができ、さらにその人が会いたいと願う死者と交信できる能力を持っている。しかし常に死と過去を見るだけの自らの才能を呪い、自らの能力を封印し人との接触を避けて暮らしている。 それぞれに死の世界に深く囚われた3人が、運命の糸で手繰り寄せられるようにロンドンのある一点で出会う。 マリーは、自らの臨死体験を元に書籍を出版し、ロンドンで開催されるブックフェア会場で朗読会を行う。 ジョンは新しい人生を見つけたいと切望し、アメリカを離れ、尊敬する詩人ディケンズの出身地ロンドンを訪れ、デレク・ジャコビによる朗読会を聴くためにブックフェア会場を訪れる。 その会場に来ていたマーカス少年はネットで知っていたジョージを見つける。 崖っぷちぎりぎりで、彼らは次に進む一歩を無我夢中で捜し求めようとしている。そんな彼らの「生きる」意志が彼らを結びつけたんじゃないかな。」 マリーもマーカス少年も、突然予期せぬ事態で死の世界と触れてしまった、その崖っぷちぎりぎりのところで、死と正面から向き合おうとしている。それは、どう生きていくのかということと強く繋がる彼らの意思でもあるだろう。 ジョージとマーカス少年。マーカスと手を握り合って、ジョージを通して死んだ双子の兄。手を握り合うことで繋がる3人の交信。このシーンがこの映画のテーマだろう。 握り合うという人と人との絆。 生きているということ。 これからも生きていくということ。 丁寧に丁寧にアメリカ、フランス、イギリスにいる3人のそれぞれを描いている。そして3つの物語はブックフェア会場でひとつに繋がる。そしてジョージとマーカス少年の対話で映画はクライマックスに達し、そして穏やかな余韻の中でそれぞれの明日が語られる……。 いつも思う。やっぱりクリント・イーストウッドは上手いなぁって思う。 これ以上になると押し付けっぽくなり厭味になるし、どうかするとお涙頂戴のベタな物語になってしまう。紙一重のぎりぎりで踏みとどまって、素直に感動できる素晴らしい作品に仕上げる。 画家がどこで絵筆を置くか。名作と駄作の違いはそこにあると、高校時代、美術部に所属していたときに美術の先生が話してくれたこんなことを、イーストウッドの作品をみていると思い出す。 イーストウッド作品に見る紙一重のぎりぎりの状態。 それは、振り返ってみると本作に限らず、彼の作品の主人公たちにも通じる。 ぎりぎりまで追い込まれ、それでもなお踏ん張って、そこで手にしたものは、たとえそれがひとつの悲劇に終わったとしても、人はそこに明日に繋がる希望の光を見出す。それが「生きる」ということ。 これがイーストウッドの作品テーマなんじゃないかな。 そんなことも思った「ヒアアフター」 自分の能力に苦悩するジョージを演じたマット・デイモン。こんな抑えた内面演技は上手い。
by mChouette
| 2012-06-26 00:00
| ■映画
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