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BEGINNERS75歳にして突然にカミングアウトした父と、そんな父に戸惑う、内向的で愛に臆病な息子という設定。そして「リトル・ミス・サンシャイン」を思わすようなポスターに、ハートウォーミングでコミカルなテイストの作品って勝手に想像していたけど……とっても穏やかで静かな口調でもって、父を語り、父が生きた時代を語り、父と母を語り、そして僕自身と僕の人生、僕の恋愛を語っている。マイク・ミルズ監督自身のとっても私的な映画。 私的なんだけど、決して独りよがり的とか自己陶酔の作品ではない所も素晴らしい。 彼自身が葛藤し、殻を打ち破ったという実感を確かに掴んだからなんだろうと思う。 優柔不断で最後の一歩で臆病になってしまう息子オリヴァーを演じたユアン・マクレガーの、僕の心情を淡々と語るナレーションは、芝居がからず作品にとっても素敵な味わいをもたらしていた。 恋愛の切ない葛藤も初々しく、オリヴァーという青年役をユアン好演。 父の死を静かに受け止め、カミングアウトした後の彼と、それまでの彼が生きてきた長い人生を息子の目を通して辿りながら、一人の男であった父に対する深い愛と敬意が、作品とユアンのナレーションとマイク・ミルズの映像から穏やかに静かに伝わってくる。 カミングアウトして、長きにわたってクローゼットに閉じ込めていた人生を、残り少ない我が人生を、思いっきり弾けて生きた父ハルにクリストファー・プラマー。1929年生まれだから80歳は過ぎて尚、役者としての健在振りをみせてくれている。 今も老いたからこその若い時の硬さのある美形が、加齢とともに柔らかさを増してきたからでしょうか、味わいのある役で新作映画に次々と出演されている。 オリヴァーの恋人アナにメラニー・ロラン。 彼女の醸し出すヨーロピアン的雰囲気がこの映画に透明感をもたらしている。アメリカンでは出せない空気。とっても魅力的な女優。 そして人間以上にこの作品で重要な存在であるのが、オリヴァーが引取った父の愛犬アーサー。犬種はジャックラッセル・テリア。オリヴァーとアーサーのツーショットがまたGood!アーサーの心の声も字幕で出てくるあたりは、グラフィック・デザインやミュージック・クリップ、TVCMなどで活躍するマイク・ミルズならではのユーモラスなセンスかしら。 マイク・ミルズ監督の前作「サム・サッカー」(2006年)も人生に自信がもてず指しゃぶりがやめられない青年が主人公 ブログにレビューないなって思ったら、この作品を観たのはブログ開設前だったんだ。マイク・ミルズ自身、本作を撮ることで「サム・サッカー」からさらに一歩踏み出して、作品の最後を「BEGINNERS」という言葉でもって明るく締めくくれたんじゃないかしら。
by mChouette
| 2012-02-24 00:00
| ■映画
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