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LILITH 私立の精神病院を舞台に、帰還兵のヴィンセント・ブルースは、作業療法士の見習いとして病院に勤務する。そこで一人の統合失調症の患者リリス・アーサーと接する内に危険なほど夢中になってしまい、嫉妬からリリスに夢中な患者スティーヴンを自殺に追い込み、自らコントロール不能となった彼は精神医学的な救済を願い出るという話。 ヴィンセント・ブルースには、1920年代のアメリカ中西部の町で、保守的な時代の保守的な町にあって、若い二人の燃え上がる恋を自らストイックなまでに抑圧したことから少女は精神を病み、青年は身を持ち崩していくという悲劇のラブストーリー「草原の輝き」(1961年)で映画デビューしたウォーレン・ベイティ。ウィキペディアニよると<リリス(Lilith)は、本来はメソポタミアにおける女の夜の妖怪で、「夜の魔女」とも言われ、男児を害すると信じられていた。>とある。 ジーン・セバーグのみせる演技が凄い。 ブルースのリリスに対する最初の印象は、きっとガラス細工のように壊れやすい繊細な美少女だっただろう。 恥ずかしげな頼りなげな笑顔は、この世の穢れとは無縁とも思われる無垢な存在とも映っただろう。その顔が、眼には邪悪さが宿り、夜叉の顔になりブルースを罵る。 蜘蛛の巣にかかったブルースが悶え葛藤する様を、時には優しく時には焦らし、また時には罵り、弄ぶ様は女郎蜘蛛。 「悲しみよこんにちは」(1957年)で彼女が演じたセシール。 父親を愛するあまり、父とフィアンセの仲を壊そうと画策した多感な少女セシールが引き起こした一人の女性の死。少女と女の裂け目にはまり込み、深い淵に沈み込んだセシールのダークな極限がリリスみたい。 見ていてそんな風にも思えてくる。 ブルース役のウォーレン・ベイティは、アネッサ・ベニングと結婚するまでは次々と女優たちと浮名を流す派手な女性関係で、姉のシャーリー・マクレーンが諌め役だったそうだけど、こういう普通の気質っぽい男が似合う。医師と上司に向って、どこか覚束ない足取りでゆっくり歩いてきて一言「助けて」と言うラストシーンなどもなかなかの演技。 本作は、「オール・ザ・キングスメン」(1949年)やポール・ニューマン主演の「ハスラー」(1961年)の監督であるロバート・ロッセンの遺作。満57歳没。 リリスに恋する患者で思い込みが強くナイーブな芸術家肌の青年に若きピーター・フォンダが。ブルースの元恋人の夫役で、男尊女卑丸出しの下卑た男役でジーン・ハックマン。ブロードウェイでの公演を観たロバート・ロッセン監督に見出されて本作で画デビュー。 しかし本作ではジーン・セバーグがみせる表情が凄い。 後に精神のバランスを崩し自殺した彼女自身を重ねてみてしまう。
by mChouette
| 2011-12-07 00:00
| ■映画
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