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LES AMANTS DU TAGE 最近は公開映画も敢えて劇場まで足を運んで…というほどのものはなく、WOWOWなどで放映されるのを観ることも多い。最近の映画ってノンストップアクションだの、CG駆使したビッグスケール迫力映像だのなんだけど、映像オーラはスクリーンサイズよりもテレビサイズ化しているみたい。監督は「シシリアン」「地下室のメロディ」そして「冬の猿」などのアンリ・ヴェルヌイユ。そして原作者ジョセフ・ケッセル、「将軍たちの夜」「昼顔」「影の軍隊」「サン・スーシの女」などなど映画化されているものも多い。 1944年パリ解放の日。帰還兵ピエールが喜び勇んで愛する妻の待つ我が家のドアの鍵を開け、彼の目に飛び込んできたのは妻の不倫現場。思わず持っていた銃で妻を撃ち殺す。無罪になるも人間不信からか放浪を続け、乗船待ちの間リスボンでタクシー運転手をしている。彼のタクシーに若く美しい女性がスーツケースを持って乗ってきた。ピエールの下宿先の少年が彼女のガイド役になったことから二人は急速に親しくなる。女性はカトリーヌ。貧しい売り子だったカトリーヌが金持ちの英国貴族に見初められ結婚したが、夫は自動車事故で死亡。莫大な遺産は未亡人のカトリーヌのものに。しかし遺族達はその死に疑惑を持ち、警察に捜査を依頼。一人の警部がカトリーヌを追ってリスボンにまでやってくる。 カトリーヌのピエールに対する愛は本心か、打算から生まれたものか。 絶対と思える愛も、じつは相対的なものでしかないという不確かさ。 無垢な邪心の無い愛が果たして在るのかどうか…。 妻を殺した男と、夫殺しの容疑をかけられた女性がいつしか恋におちるというメロドラマ的ともいえる本作。二人の間にたつ警部を狂言回しに、言わぬが花のアンリ・ヴェルヌイユ監督の演出もなかなかに手堅く面白い。 警部を演じたトレヴァー・ハワードの曲者演技に対し、カトリーヌ役のフランソワーズ・アルヌールが曖昧。 カトリーヌの女心と役者としての演技の駆け引きが見え隠れすれば、もっと面白かったのに……。 二人が通う小さな酒場で、歌姫アマリア・ロドリゲスが万感をこめて歌うた「暗い艀(はしけ)」。彼女の代表作だそうだ。 メロドラマといっても硬質なタッチの本作で、アマリア・ロドリゲスの歌が、愛に裏切られた男と、愛を演じ続けてきた女が港町で交わすドラマに哀愁の情感をもたらしている。 アマリア・ロドリゲスという方はポルトガルの歌手兼女優でファドの女王と呼ばれている。ファドはポルトガルの民族歌謡で、ファドは運命とか宿命を意味する言葉だそうで、心を歌とメロディに託したロマの音楽とも通じるものがあるのかしら。
by mChouette
| 2011-12-01 13:54
| ■映画
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