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映画エッセィとか映画に関する本は何冊か読んでいる。
ブログカテゴリー「一冊の本」にもそのうちのいくつかを紹介している。 美しい男たち、美少年をこよなく愛されていたファッション・イラストレーターの草分け的存在だった長沢節さん、フランス映画とりわけジャン・ギャバンをこよなく愛していた作家の池波正太郎さん、彼女のちょっと外した視線が私のツボにはまる作家の中野翠さん…などなど。彼等の映画の愛し方は私の感性を大いに刺激してくれた。 でも映画にかぎらず、いわゆるハウツーものといわれる類は避けて通る。 で、このズバリ「映画の見方」と堂々と掲げたこの本。 著者は町山智浩。 ウィキペディアによると映画評論家とあるから、私は知らなかったけれど映画ファンならご存知の方も多いのでは。彼のこの本なども2002年に発売されているから読んでられる方もおられるのではないでしょうか。 でももし書店で見かけても、このタイトルだけで中味を見ずに素通りしていたでしょうし、さらに、彼は私より年下という単純な理由からも素通りしたでしょう。育った時代感覚というか、映画に対する見方にもジェネレーション・ギャップが微妙に反映されているように思えるし、なによりも映画は自分の眼で観るわ!っていうのがある。 で彼の著書を読んで、なかなかに鋭い視点をもっているし、軽くないし、なによりもその文面から映画を真剣に愛しているなって感じ取れたのが 「トラウマ映画館」 (刊行:2011年3月) …呪われた映画、闇に葬られた映画、一線を越えてしまった映画、心に爪あとを残す映画、25本…とあったこの本。 ゾンビものオカルトもどきの作品がならんでいるんだろうと思ったけど、表紙は「マドモアゼル」のジャンヌ・モロー。帯文のしょっぱなに「バニー・レークは行方不明」が!私のツボをガシッと突いているこのセレクト。さらに並ぶ映画は私のツボにはまること。目次をみると「追想」までも。 こんな作品のセレクトに惹かれ購入。通勤電車の行き帰りをとっても楽しませてくれました。 で、町山智浩の映画の見方に興味が沸いてきて次に手に取ったのが…… 「<映画の見方>が分かる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで」 (刊行:2002年)。 しょっぱなにキューブリックの「2001年宇宙の旅」をもってくるあたり、読者のツボをしっかり鷲掴み。 当初は本編が始まる前に解説として専門家11人によるインタビューが10分間上映される予定だったし、途中でナレーションも入る予定だったけど、公開前にキューブリックがマジックの種あかしになるからと削除したとか。 「私が狙ったのは視覚的体験だ。言葉で整理することを避けて、潜在意識に直接突き刺さるエモーショナルて哲学的な映画だ」とキューブリックはこのことについて語っているとか。 猿が高々と放り投げた骨が次の瞬間に宇宙船と繋がるあの冒頭シーン。宇宙船と思っていたのは実は核ミサイル衛星で、「美しき青きドナウ」の音楽で描かれた映像は、人類の輝かしい進歩を謳いあげたものではなく、人類絶滅の危機を描いたものだとか。 読み始めたばかりだけど気持ちはすでに「2001年宇宙の旅」を見直さなくっちゃに行っている。DVD持っているのは、と友人の顔を思い浮かべている。 「絵画の研究がスケッチや習作、X線で見える描き直しの跡を調査するように、シナリオの草稿や企画書、関係者のインタビュー、当時の雑誌記事などに当たって裏づけを取りました。」と「はじめに」で書いているように、かなり緻密で根気を要した作業を経て書かれたであろう事はその記述内容からも推察できる。 この1967年から1979年の<映画の見方>執筆にあたり、彼は<あのころの映画の「問いかけ」に辿り着けるように、一緒に作品を観直していきましょう。映画がたんなる娯楽ではなくて、人生経験の一つだった頃の映画を>と冒頭を締めくくっている。 それからもう一冊 「<映画の見方>が分かる本80年代アメリカ映画カルトムービー篇 ブレードランナーの未来世紀」 (刊行:2005年) <『ブレードランナー』の何が「二つで充分」なのか?『イレイザーヘッド』の赤ん坊の正体はウサギ?『ビデオドローム』の変態テレビ局は実在した?『未来世紀ブラジル』はなぜブラジルなのか?80年代に狂い咲いた映画作家たちの真実>たぶん、帯文でワクワク期待する以上の内容だろうと思う。 こんな本で、キューブリック的に表現するなら、映画の種明かしを知ったとしても、この本に取り上げられている映画作品は、だからこそさらにもっと深く楽しめ、その魅力は揺るぎない映画たちばかりだろう。その事が凄い!
by mChouette
| 2011-10-31 00:00
| ■一冊の本
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