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THE KING'S SPEECH
2010年/イギリス・オーストラリア/118分 at:TOHOシネマズ梅田監督: トム・フーパー 脚本: デヴィッド・サイドラー 撮影: ダニー・コーエン 音楽: アレクサンドル・デスプラ 音楽監修: マギー・ロドフォード 出演: コリン・ファース/ジェフリー・ラッシュ/ヘレナ・ボナム=カーター/ガイ・ピアース/ティモシー・スポール 作品賞受賞スピーチで、資金援助を期待できるような作品ではなかったにもかかわらず、と資金提供者たちへの謝辞があった。 たしかに、ただただ、吃音に苦しみ、妻エリザベスの前向きで献身的な愛に支えられ、言語聴覚士ライオネル・ローグの指導の下、吃音症克服に悶々とするジョージ6世を描いた地味な内容の作品だ。 子供の頃の厳格な躾と矯正による精神的抑圧から成人した後もなお吃音症に苦しみ、国民に向かって満足な演説も出来ず苦しむイギリス国王ジョージ6世が、自身の障害と向き合い、セラピストのサポートを受けながら、第二次大戦勃発という歴史的局面に際し、ドイツとの開戦そしてイギリス国民の団結を呼びかける、まさに歴史的演説を成し遂げるまでを描いた実話だけれど、大ヒットを期待できるような壮大な歴史ドラマでもなく、客を呼び込むような美男美女が出てくるわけでもない。 イギリス国王、正式にはグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(イギリス)ならびに海外自治領(The British Dominions beyond the Sea)の国王イギリス中にラジオ放送される開戦アピールの演説。 ソ連共産党の動きも予断を許さない緊迫した状況にあって、ヒトラー率いるナチス・ドイツとの戦争にイギリス国民が一つになって立ち向かえるかどうか、国王のこの演説にかかっているといっても過言ではない重要な演説。ジョージ6世の吃音は広く国民が知るところ。聞き苦しい演説を国民は幾度も聞いていたことだろう。しかし今回の演説は失敗は許されない。 そんな極度の緊張の中でラジオ放送が始まる。 放送室にはジョージ6世とローグの二人きり。マイクに向かうジョージ6世。原稿にはローグがいれたのだろうか、赤ペンで区切りや抑揚のリズムが記されている。 マイクの向うでローグが、コンダクターのように彼の演説を無言でサポートする。 ゆっくりと、一言一言、力強く、ジョージ6世の演説は続く。 ラジオの前でジョージ6世の演説をじっと聞き入る人々、兵士たちも、母君も、そして王位を捨てた兄も、イギリス中が彼の演説にじっと聞き入っている。そんな人々の間を風のように流れるジョージ6世の演説。 吃音症という恐怖にも似たコンプレックスと闘いながら、言葉を噛みしめるように切々と語るジョージ6世の演説は、どれほどの強い勇気と感銘を人々に与えたことだろう。 観ている私も思わず感極まる。 「Wでつっかえましたね」というローグの言葉に、「わざとだ、私だとわかるようにね。」そう答えるジョージ6世。 端正で品を感じさせる正統な英国映画といえる作品。 ジョージ6世を演じたコリン・ファース、エリザベスを演じたヘレナ・ボナム=カーター、そして言語聴覚士ライオネル・ローグを演じたジェフリー・ラッシュ。彼等の確かな演技力、トム・フーパー監督の実直な演出が、善良王と呼ばれ、生真面目で誠実といわれたジョージ6世の人柄とも重なるような、静かな感銘を与える上質なドラマとなっている。 当初、ジョージ6世にはヒュー・グラントにオファーがいったとか(ほんまかいな?)。でも彼が断って、コリン・ファースになったとか。ヒュー・グラントがジョージ6世を演じていたら、ここまでに感動を与えるドラマに仕上がっていたかどうか…。 ………………………………………………………………………………ここにきて「シングルマン」そして本作「英国王のスピーチ」ちと、ようやく彼だからこその役と出会い、演技者としての本領発揮と思うと嬉しい。 でもやっぱり今回の、決して器用でも、人の間を上手に渡り歩けるでもなく、そんなジョージ6世も、ジャドやマーク・ダーシーにも通じるキャラクターともいえる。そこに50歳という年齢になったからこそ加わった彼の演技の味もあるのだろう。 久々に、いい映画を味わった。 アカデミー授賞式の様子を28日夜WOWOWで見ていたら、コリン・ファースのオスカー受賞に対し、WOWOWで司会を務めていたジョン・カビラが、その日の朝にブログアップした「英国王のスピーチとオスカーの行方」で私が書いたのと同じようなことを話していたのにびっくり。
by mchouette
| 2011-03-04 00:00
| ■映画
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