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STAY
2005年/アメリカ/105分 ネタバレ注意 監督: マーク・フォースター ニューヨークの有名な精神科医サム(ユアン・マクレガー)が新たに受け持つことになった患者は、ミステリアスな青年ヘンリー(ライアン・ゴズリング)。予知めいた能力を持つヘンリーは、3日後の21歳の誕生日に自殺すると予告する。一方、自殺未遂経験を持つサムの元患者で恋人のライラ(ナオミ・ワッツ)は、自分と同じ自殺願望を持つヘンリーに興味を抱く。やがて、誕生日を前についに行方をくらましてしまったヘンリー。彼を救おうと必死で行方を捜すサムだったが、次第に彼の周りで、現実の世界が奇妙に歪み始める…。 予告編や映画宣伝チラシでも、なにやらミステリアスなような、わけのわからんような映画だった。最近はミステリアスを強調して、観てみると、なぁ~んだ、こういうこと…ってのが多いから、ついこちらも猜疑心でもって、観ようかどうしようかとなる。(最近はこの猜疑心が起きるのがやたら多い) 本作もそんなこんなで劇場鑑賞はスルーした作品。 ある意味、スルーして良かったかも。 観るほどのものでもないという意味ではなくって、見終わった後、映像の意味がわかった頭でもう一度謎めいたように思えていたシーンを、ヘンリにー寄り添う形で確かめたくなるから。 観ながらあれこれと推測してしまう。 サムを訪ねて彼が通う美大を訪れたサム。 教室から出てくる学生や建物を歩く学生たちが、何かの暗示のように双子あるいは三つ子であることに気がつく。この現象はサムやヘンリーが歩く町の中でも起きている。 そしてサムが経験するデジャブ。 それはサムのものでもあり、ヘンリーのものでもあり、奇妙に捩れた形でサムとヘンリーが結びつく。 美大生のヘンリー。そして画家のライラ。ライラがみせる不安定な精神。 サムの元患者で自殺未遂の経験があり、同棲している恋人のライラもまた、サムとライラの間に滑り込むような形で不可思議な繋がりをみせ始める。 ヘンリーは、実はサム自身の投影? サムを演じるユアン・マクレガー。彼の今まで演じたきた曲のある役柄からか、例えば「シャロウ・グレイブ」(1994)、「ピーター・グリーナウェイの枕草子」(1996)、「悪魔のくちづけ」(1997)、1999年 「氷の接吻」(1999)、「猟人日記」(2003)、「天使と悪魔」(2009)…そんなことも思わせる。 そしてラスト。 ブルックリン橋で起きる衝撃の映像。 ここにきて初めて、この3人の関係とは、こういうことだったのか! 彼らはここで出会ったのか! サム、ヘンリーそしてライラをとりまく断片的でもあり、不可解な映像がラストで結びつく。それでも映像の謎は残るのだが… ヘンリーが聞き取れない声で許しを請う言葉と共に、幾度が口にする「STAY」…「ここにいて」…贖罪の思いとともに、この手から消えていくだろう時間にすがりつくような彼の思いが込められた言葉だろう。 エンドクレジットで流れる映像を観ながら、今まで観てきたものは、ヘンリーが遠ざかる意識の中で、残酷な現実と、自責の念と、願望と未来の希望が交錯して生み出された世界なのかと、たぶん、そうなんだろうと思う。 次のシーンで二人が恋人同士であるとわかるにもかかわらず、冒頭でのサムとライラが声をかわすシーンが妙にギクシャクしていたのも肯ける。 ライラだったナオミ・ワッツのアイメイクが彼女にしてはちょっと濃かったのもそういうことかと肯ける。 とすれば、あのシーンも…と、不可解でミステリアスと思われたシーンの一つ一つが、なるほどと、クロスワー・パズルのように断片と断片が一致する。 もう一度観て確かめたくなる気になってくる。 ブライアン・シンガーの「ユージュアル・サスペクツ」も2回観て、やっと、ああ、そういうことかと納得させられるというもの。ラストでケヴィン・スペイシーがみせるラスの一連のシークエンスに2回目も大いに唸らせられる。このDVDを友人たちに貸す時も「必ず2回観てね」と念押しする。そういう意味で、本作も劇場鑑賞スルーして良かったかと。 劇場を後にしながら、今観たそれぞれのシーンの記憶を振り返り、一つ一つあてはめていこうと頭の中が勝手に動き出す。曖昧な記憶にじれったくなることもあるだろう。 ただ、本作はヘンリーの思いが切なすぎ、悲しすぎる。 一度きりの人生。二度続けてみるよりも、さまざまな思いに錯乱するヘンリーが、二人に聞き取れないほどの声で「STAY」と言った彼の思いを抱きしめてやる方がいいのかもしれない。 見終わった後、そんな気もする。 監督はマーク・フォースター。 「チョコレート」「ネバーランド」最新作では「007慰めの報酬」の監督。 なかなかのビジュアルセンス。 監督の演出手腕か、編集スタッフの力量か、脚本の面白さか。 しばらく時間をおいて再鑑賞してみよう。
by mchouette
| 2010-04-26 11:13
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