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THE PRIVATE LIFE OF SHERLOCK HOLMES
1970年/アメリカ/125分 監督: ビリー・ワイルダー ビリー・ワイルダーが描くシャーロック・ホームズ。 本作は初めての鑑賞。 WOWOWが企画したビリー・ワイルダー特集で放映された作品の一つ。 ガイ・リッチーがコナン・ドイル原作を下敷きにした「シャーロック・ホームズ」もこんなホームズとワトソンコンビなかなかにいいではないか、ガイ・リッチーやるじゃん!の評価で、これはこれで楽しませてくれた。 ビリー・ワイルダー監督のホームズ譚は、コナン・ドイルのホームズ像に敬意を表しつつも、こちらもビリー・ワイルダーのオリジナル。 ロバート・ダウニー・Jrのホームズは退屈するとピストルを発射させて壁にヴィクトリア女王を描いたりしてたけど、ワイルダー描くホームズは、退屈するとモルヒネに手が伸びる。 名手と謳われたホームズの弾くバイオリンの、センシティブでどこか物悲しい音色に、彼の内面の隠し持っているものをちらりと垣間見せるあたりはさすがビリー・ワイルダー。 埃の厚さが事件のインデックスというエピソードも登場する。 頭脳明晰ではホームズに優るとも劣らず、政府国家の中枢に関わる仕事をしているとされる兄のマイクロフト・ホームズも登場する。 演じるのはドラキュラ伯爵で有名なクリストファー・リー。若い人には「ロード・オブ・ザ・リング」のサルマン役とか、「スター・ウォーズ」のドゥークー伯爵が馴染みでしょうか。この方は本作では兄のマイクロフト・ホームズ役だけど、シャーロック・ホームズも演じており、ホームズ兄弟双方を演じた史上唯一の俳優なんだとか。 英国の政治の中枢を握る兄のマイクロフトたちの秘密クラブの存在とか、そんな権力主義に嫌悪感を示すシャーロック。ネス湖の伝説の怪獣を絡め、ドイツとイギリスの間で繰り広げられるスパイが暗躍するほど熾烈な軍事力競争。ユーモラスな語りながら当時の社会背景もシビアに切り込んでいる。 そして兄のマイクロフトの指揮下で開発された潜水艦を前にしてヴィクトリア女王のセリフが奮っている。「水の中から黙って攻撃するなんて! ドイツがしてもイギリスは断じてそんな卑劣なことは許しません。即刻壊してしまいなさい!」 失踪した夫を探しに来た女性と、イギリスとドイツで火花を散らす潜水艦開発が一点で結びつき、そんな中でホームズと女スパイとの間に密やかに芽生えるロマンスの絡め方もさすがビリー・ワイルダー。 しかしこの恋も、再会の約束も、スパイ活動中の日本での非業の死で終わりを告げる。 さすがのワトソンもこの時ばかりは隠したモルヒネのありかをホームズに教えてやる。 婚約していた女性が式の前日に亡くなった。だから女性を信用しないんだというホームズ。また会いましょうと密かに約束したドイツの女スパイとも再会せぬままに死んでいった。恋に傷つくくらいなら、女性に何も期待しないというホームズ。 頭脳明晰で論理的に事件を解決していくホームズが唯一扱いかねるのが己の内なる恋心。ホームズの女嫌いのありかをこんな風に描いてみせるのもにくいほど。 ワトソンが執筆するホームズ事件簿からはみえないホームズの素顔が、さらりと、それでいて的確につかんで描かれている。 ロンドンの町、そしてスコットランドの田園風景を背景に、古きよき英国映画を思わせるクラシカルな上品さを漂わせ、一人の男としてのシャーロック・ホームズまでをも生き生きと描きあげ、数あるシャーロック・ホームズ映画の中でも傑作ではないかしら。 ビリー・ワイルダーってシャーロキアンとしてもつとに有名だとか。そのビリー・ワイルダーが10年の構想を経て撮ったビリー・ワイルダーのオリジナルストーリー。 「ホームズの私生活に深く関わるため発表されなかったエピソードが、ワトスンの死後50年を経て公開された。」という設定で、4つのエピソードが盛り込まれた4時間近い大作だったそうだが、映画公開にあたって配給会社からの要請でエピソードのうち2つはカットされ2時間に編集されたのが本作だそうだ。 ビリーワイルダーのオリジナル版「シャーロック・ホームズ」。 カットされた2つのエピソードがなんとも惜しい。 WOWOWのビリー・ワイルダー特集。次は「第十七捕虜収容所」 あの口笛のメロディ「ジョニーが凱旋する時」も映像と共に忘れられないメロディ。
by mchouette
| 2010-04-21 09:43
| ■映画
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