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この本を読んでいる途中から、読み終えたら、娘に教えてあげようと思った。 小学生の頃、「おかあさん ファックスって、あの紙ってどうやって向うまで行くの?」って聞いてきた娘。 きっと彼女の頭の中では、送信した紙があの電話線の中をどんな風にして流れていくんだろうと、あれこれ思い描いたことだろう。 それらしく娘の素朴な質問に回答したものの、私の頭の中でも、送信した紙の一文字一文字が電話線の中で一列縦隊で必死に前進し、時には揺れ動きながら、時には電子の海を必死に泳ぎながら、そうして受信側にたどり着いたときには汗かきながら、列を乱すことなく、一文字一文字が然るべき場所に並ぶ絵が、いまでもファックスの前でなにか送信する時に頭の中にひょっこりと現れる。 きっと、娘も、子どもの頃のこんな素朴な疑問はすでに頭に根を張って今も「なんで?」って思っていることだろう。 集合写真で、鳩が出ますよといわれて、ずっと出てこない鳩を未だに考え続けている岸本佐知子さん。 子どもの頃、慣れ親しんだ橋の名前。誰に聞いても知らないといわれ、でも記憶に残っているあの橋は…?といまだに、そんな、人からみたらどうでもいいような、大阪弁でいえば「しょうもないこと」を、あれはなんだったんだろうと、今もってねにもって、頭から消えないでいる岸本 佐知子さん。 一つの言葉の翻訳を考えている最中に、どんどん連鎖反応であらぬ方向のマイ・ワールドに飛んでいってしまう岸本佐知子さん。 そんな岸本さんのエッセー「ねにもつタイプ」は、どうでもいいんだけど、どうでもいいことなんだけど、私みたいに、ファックス送信のあの字たちが、泳いでいる絵柄が、今もって頭にうかぶようなタイプの人間には、うん、うん、ある、あるってすっごく共感できるし、岸本さんの脳内ワールドには思わず笑ってしまう。 しかし、岸本さんの鋭い観察眼と、その観察から広がる想像力の豊かさ! 「ねにもつタイプ」 読んだら、あの人と、あの人と、それからあの人にも…ってこの本に共感できるだろう人に読ませてあげたくなる。
by mchouette
| 2009-07-21 11:13
| ■一冊の本
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